雨の中で咲く紫陽花がとても美しい季節になってまいりました。
気が付けば早いもので、年の折り返しとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ヴィノスやまざきでは、暑い時期にぴったりの、毎年ご好評をいただいております「夏ヌーヴォー2025」のご予約を開始いたしました。
今年は、2025年は例年と比べると温暖で乾燥していた年でした。
雨量が少なかったため収穫量は落ちましたが、ぶどうはしっかり完熟し、果実味がギュッと凝縮された、香り豊かなぶどうを収穫することができました!
フレッシュで飲みやすく、夏にぴったりな味わいをぜひご堪能ください。
今月の蔵直🄬銘醸スパークリングワインコースは、世界最南端ワイナリーとして知られている「オトロニア」から初リリースとなるピノ・ノワール100%のロゼ・スパークリングと南アフリカのクラフトワイナリー「ノーブル・ヒル」からシャルドネ100%のブラン・ド・ブランのスパークリングをご紹介いたします。
・オトロニア ロゼ・スパークリング ブリュット(アルゼンチン・パタゴニア地方)
品種:ピノ・ノワール100%
ウルグアイの銘醸ワイン「ガルソン」のオーナー、アレハンドロ・ブルゲローニ氏から、数年前に耳にした極秘情報。「凄いワインを、パタゴニアで造っている」という言葉が、ずっと頭に残っていました。そのワインの名は「オトロニア」。なんと、世界最南端に位置するワイナリーです。
私たちはどうしてもその現場を自分の目で確かめたくて、ワインのプロフェッショナルも驚いたこのワインの真価を探るべく、南米パタゴニアまで買い付けに向かいました。
旅は長く、日本からアルゼンチン・メンドーサまで約30時間、さらに飛行機と車を乗り継いで6時間。現地は直前まで大雪に見舞われており、到着するだけでも一苦労。そこはまさに極寒の地──海の向こうには南極大陸が広がる、想像を絶する環境でした。
吹きつける風は凄まじく、ぶどう作りは過酷そのもの。それでも、ぶどう畑にはネットがかけられ、風から作物を守っています。そして何よりも印象的だったのは、「この土地で世界最高のワインを造る」という、若き醸造チームの並々ならぬ情熱。
中心人物であるパブロは、「注目の若手ワインメーカー」として世界的なワインジャーナリストにも取り上げられ、南米最高峰のワインガイド『Descorchados 2022』では、年間最優秀ワインメーカーにも選出されました。
最先端の設備を導入しながらも、スパークリングワインの動瓶(ルミアージュ)はすべて手作業。「本当に限られた本数しか造っていないから、丁寧に造っていきたい」という言葉からも、品質へのこだわりが伝わってきます。
特に印象的だったのが、ロゼ・スパークリング。パイコ・ヴィンヤードで育まれたピノ・ノワールを100%使用し、除梗せずに直接プレス、自然酵母で発酵。伝統的なシャンパーニュ方式で造られ、25カ月の熟成を経て完成するその味わいは、繊細な泡と奥深い複雑さを併せ持ちます。
※なお、ロゼとはいえ色合いは非常に淡いため、その点はあらかじめご了承ください。
世界の果てで、情熱と技術と自然が融合して生まれる「オトロニア」のワイン。きっと、グラスの一杯が語ってくれるはずです。
・ノーブル・ヒル ブラン・ド・ブラン(南アフリカ・シモンズバーグ)
品種:シャルドネ
南アフリカは、300年以上のワイン造りの歴史を持ち、伝統と最先端の醸造技術を融合させ、多種多様なワインを生み出してきました。
日本では近年になってようやく、美味しいワインの産地として知られるようになってきましたが、当店では10年以上も前から南アフリカワインに取り組んできました。ノーブル・ヒルも、そんな長年のお付き合いをしているワイナリーのひとつです。
出会いのきっかけは、オーナーのクリストファーさんからの一本の電話でした。
「私たちノーブル・ヒルを含む、小規模な家族経営のワイナリーが素晴らしいワインを造っています。ぜひ南アフリカに来て、それを体験してください。」
当時、南アフリカはあまり知られていない産地でしたが、面白そうだと思い、すぐに現地を訪れることにしました。
南アフリカでは、ブドウを買い付けてワインを造るワイナリーが多く、栽培から醸造まで一貫して行う生産者はごくわずかです。
そんな中、ノーブル・ヒルは自社畑のブドウだけを使い、自らの手でワインを造る、南アフリカでも珍しい小さな家族経営のワイナリーでした。
彼らが最も重視しているのはブドウの品質です。自社畑で育てたブドウを丁寧に手摘みし、房がつぶれないよう小さなカゴで運び、醸造前にも厳しい選果を行います。
豊かな果実味と凝縮感のある赤ワインから、華やかでエレガントな白ワイン、そして単一畑のシャルドネを使用したスパークリングワインまで、どのワインにも彼らの細やかなこだわりが感じられ、私たちは輸入を決意しました。
ノーブル・ヒルは、当店が初めて取り扱った南アフリカワインであり、今もなお、その品質は変わることなく高いレベルを保っています。
現在、オーナーのクリストファーさんは、日本のワインイベント「蔵の祭典」にも積極的に参加し、お客様の声を真摯に受け止めてワイン造りに反映させています。
その結果、彼らのワインは年々品質を高めています。
今回ご紹介するスパークリングワインは、2021年産の自社畑100%のシャルドネを使用した、ブリュット・ナチュール(超辛口)スタイル。
シャープな酸味と、パイナップルやメロンのような爽やかな果実味をしっかりと感じられる、上質な味わいが魅力です。
さらに3年の熟成期間を経て、複雑さと深みも加わった、人気の高い一本です。
まだあまり知られていない秘境の地から、シャンパーニュをも凌ぐ、隠れた名品スパークリングワインを、ぜひ飲み比べながらお楽しみください。