今から20年程前、ヴィノスやまざきは「蔵直(R)ワイン」で東京に初出店するなど、「産地ではなく人」で選んだワインがご好評頂き、まだ日本では知られていないワイン産地(国)から、是非自分達のワインを試飲してほしいと、お声かけいただくようになりました。
その中の1つが、南アフリカ。
当時まだ、日本ではほとんど知られていませんでしたが、南アフリカのワインの品質がぐんぐん上がっているということは、ワインのプロの方々から耳にするようになっていました。
そんな中、「南アフリカのケープタウンで、南アのワインを集めた試飲会があるから、是非来てほしい。」というお誘いをいただきました。
広くお声がかかったのだと思うのですが、現地まで行ったのは、ヴィノスやまざきを含め2社だけでした。
当時の社長(前前社長)の種本均が、入社したての寺田(フランスの醸造学校で勉強)と共に、南アフリカへ。
当時は乗り継ぎも大変で、香港を経由、さらにヨハネスベルグを経由してケープタウンに入りました。
2人で徹底的に厳しい試飲を繰り返し、突出したワインを選び出しました。
もう一社のインポーターさんは帰国されましたが、ヴィノスやまざきは選んだワインの畑や造り手の姿勢…全てをチェックしてから輸入を決めるため、それから蔵元をすべて自分達の足で回り、現在もロングセラーになっているいくつかの蔵元のワインを買い付けました。
その中の1つが、ボーモン。
ほとんどの南アのプレミアムワインは、ステレンボッシュ等ケープタウンから近い銘醸地で造られていましたが、ボーモンはステレンボッシュの南東に位置するボット・リヴァーという地域の家族経営の本当に小さな蔵元です。
ボーモンの旗艦ワインでもある「ホープ マルゲリート(おばあ様の名前)」は、2015年日経プラスワンの「なんでもランキング 一度は飲みたいあの国のワイン」で、見事第一位という快挙を果たしたこともあります。
その噂はあっという間に日本中を駆け巡り、多くのプロの方から卸売りの依頼や、お客様からも注文が殺到しました。
また日本国内のみならず、プラッターズワインガイドでは多数の5つ星、他にも多くの世界的評価誌で好評価を獲得しました。
端正に育てているシュナンブランの中でも一番樹齢の高いぶどうを、樽発酵&樽熟成して造った白ワインは、きれいな酸味と、蜜のような果実味がきれいにまとまっている、本当に美味しい味わい。
醸造設備に特にお金をかけるわけでもなく、先代からのぶどうの樹と、醸造のプロでもある現在の当主セバスチャンの情熱で造られたワインは、
南アフリカという、あまり知られていない国のワインでも、
ボット・リヴァーの小さな家族経営の蔵元でも、
「白ワイン人気NO.1」
として、公にも、そしてお客様にも認めていただけたのです!
そして2024年。
蔵直30周年の今年、ホープマルゲリートを超える、さらに素晴らしい白ワインが入荷しました。それは…「New baby」。
シュナンブランだけではなく、少量栽培していたソーヴィニヨンブランやシャルドネ、セミヨン、コロンバールなど、各区画の中から最も古い樹齢の葡萄を使い、品種の枠組みを超えた、単一品種では表現できない、新しい白ワインを造るという、セバスチャンの夢がついに叶った一本です。
New babyという名前は、ワイン造りをはじめた彼のお母さま・ジェーンさんが、1997年に初めて自社畑からワインを造った時「New baby!!」と、子供のようにワインを愛し呼んだことから、ジェーンさんの想いも込めて、こう名付けたそうです。
古い樹齢のぶどうの樹はお母さまの代に植樹したものもあり、セバスチャンは、このワインをお母さまとの合作だと言います。
リリースされた途端に、プラッターズガイドで5つ星を獲得し、2017年ものは2020 TOP100 Wine Discoveriesに選出されました。
選出された中でも、南アフリカのワインは4種だけ。
少量生産なので、お譲り頂ける数にも限界があり、幻の白ワインとなってしまう予感のワインです。
「樽熟成由来の木の風味と、蜜のような果実。余韻にはアプリコットのような甘さだけでなく、ナッツのような心地よい樽の風味が感じられる、白ワインの最高峰と言ってもいいな…」
20年前に南アフリカで見つけ出した、無名のボーモンワイン、前前社長にとっても、そして前社長の私にとっても、かわいい子供が世界的な選手となって恩返ししてくれたような喜びでいっぱいです。
前回訪問した時に、私がセバスチャンと植樹したぶどうの樹があります。
いつか新しいワインとなって、No.1を超えるNew babyをさらに超えるワインが出来ることを楽しみに、次世代のヴィノス社員や、お客様に大切に育てていただければ幸いです。
ヴィノスやまざきファウンダー
種本祐子