シャンパーニュ通が唸った、本格スパークリングワイン

シャンパーニュ(シャンパン)は、泡の入ったお酒の代名詞ではありません。
フランス・シャンパーニュ地方で、厳格な規定と製法で造られるスパークリングワインの1つです。
瓶内二次発酵という一度発酵させたワインを、瓶の中で再発酵し、瓶の中で長期にわたる熟成期間が定められています。何と熟成期間は最低15カ月。

シャンパーニュは一つの年の葡萄だけでなく、複数年の葡萄を使うことが法的に許可されていますが、特別に良い年の葡萄のみで造られた「ヴィンテージ・シャンパン(年号を表記するシャンパン)」は、何と36カ月以上熟成しなくてはいけません。
   
長期にわたり熟成すると、ワインの澱がたまってくるので、少しずつ斜め逆さまにしたボトルを動かし、澱を瓶の入口に集め「澱抜き」もします。
澱抜きで目減りした分だけ
リキュールを足し、味わいの調整(Brut辛口、Sec甘口等)をします。
つまり、とても時間がかかり、さらにその厳しい法律により定められた条件を満たすものだけが、シャンパーニュと呼ぶことができるのです。

フランスの他の地域のスパークリングワインや、他の国のスパークリングワインとは一線を博しているシャンパーニュ。
フランスの歴史の中でも国王の戴冠式やロイヤルファミリーの晩餐会から、F1やスポーツの表彰式でのシャンパン・シャワーまで、「高級」で「熟成感があり」、「クリーミーな泡立ち」のシャンパーニュは、他のスパークリングワインには代えられない存在だ…と、ワインマニアの友人達が言います。

その中でも、筋金入りのシャンパーニュ・マニア、仮名H氏は、ほとんどの有名メゾンのヴィンテージ・シャンパンを飲んでいるため、私が言う
「ワインは産地ではない、人」
という、私の主張を認めようとしませんでした。

シャンパーニュだけは他とは違う。
何回飲んでも、「クリーミーさが違う」「熟成感が違う」と、言うのです。


そんなH氏のコメントを受け止めながらも、
「手頃な価格で、シャンパンに負けないスパークリングを探したい」
と、今から25年ほど前に、スペイン・ペネデスの家族経営のカヴァ(シャンパーニュ方式で
造られるスパークリングワイン)の生産者と出会いました。

「パラウ」という、フルーティでキレの良く、本当に美味しいカヴァを特注で造って頂き、ヴィノスやまざきの創業100周年の時の乾杯酒にさせて頂いたのです。

多くの参加者の方が
「これ、シャンパーニュですよね。いや、その辺のシャンパーニュよりも美味しい!」と、大絶賛して下さいました。

しかしH氏は、
「いや、確かに美味しいけれど、熟成感が違う。
 ヴィンテージ・シャンパンは、もっとクリーミーで柔らかく、熟成感がある。
 もちろん安いシャンパーニュとは間違えるかもしれないけれど、ヴィンテージ・シャンパンにはかなわないな。」
と、カヴァを認めようとはしません。

その蔵元の名前は、モンマルサル。
スペインのカヴァの生産者は統廃合の末、大手2社がメインとなってしまい、自社畑を持ち、自分たちでカヴァを造る家族経営の生産者は数えるほどしかいなくなってしまった中、家族で畑の手入れをしながら、その畑の地下に熟成庫を持つ…そんな数少ない家族経営の蔵元の1つです。

「どうしてもヴィノスやまざきで売ってほしい。」
と、当時の営業担当ジャウメが日本に訪ねてきたのがきっかけで取引が始まりました。

現地に行き、パラウの商談を行った時、地下セラーを見学すると、何年も熟成していると思えるカヴァを見つけました。そのカヴァこそ、特別な年のヴィンテージ・カヴァ「エクストレマリウム」だったのです。
エクストレマリウムは、チャレッロ、マカベオ、パレリャータの他、シャルドネも使用。
明るいペール・イエローで、きめ細かい泡が勢いよく立ち上がっています。
フレッシュな香りだけでなく、トーストのような風味がヴァニラとか桃やグレープフルーツのような香りを包みこみ、フレッシュさと、熟成感を予感させる高級感ある香りが漂います。
口に含むと、フレッシュ!フルーティ、そしてクリーミィ!そしてアーモンドやヘイゼルナッツのような味わいはボリュームも熟成感もある!!!

「う、旨い。これ、ヴィンテージ・シャンパン????」
シャンパーニュ通のH氏が、そう言ってくれました。

「やった….!」
私は心の中が熱くなりました。
ヴィノスやまざきという店名は、山崎酒店をワインショップにする時に、「フランスワインだけにこだわらない。」という気持ちで、スペイン語で「ワイン=ヴィノス」という店名を付けたのだから。


何と、エクストラマリウムの熟成期間は24~30カ月。
通常のシャンパーニュよりずっと長く、ヴィンテージ・シャンパンに負けない位の熟成期間でした。
しかも自社畑の地下にある天然の洞窟の中で、ゆっくりと音楽を聞かせながら熟成しています。
葡萄はもちろん自社畑のとっておきの完熟葡萄。
これはシャンパーニュマニアが唸るのも当然かもしれません…

美味しさは産地ブランドではない。どれだけ造り手が手間と愛情を込めて造ったのか、と思わせてくれたスパークリングワイン。それが、モンマルサル・エクストレマリウムなのです。


それからH氏はこのワインを飲むたびに
「美味しい熟成スパークリングはシャンパーニュだけではない。」
と、教えてくれるようになりました…


元祖買付け隊長
種本祐子

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