静岡本店の閉店によせて①
お客様
生産者
従業員
元研修生及び従業員
各位
皆様に大切なお知らせ
ヴィノスやまざき静岡本店が、建物の老朽化と都市開発により、閉店・取り壊しをすることになりました。
数年前から、開発による取り壊しの話がありながら、なかなか決断することが出来ず、ご近所はすべて立ち退きが終わったのに、何年も引き延ばして頂きました。
ヴィノスやまざきが始まった場所
自分の生れ育った場所
あまりにも多くの思い出のつまったこのお店が取り壊されることを考えると、涙が止まらず、伸ばし伸ばしになってきましたが、ついに4月18日(日)をもって閉店の運びとなりました。
これまでご愛顧くださいまして、本当にありがとうございました。
全24店舗の中でも、東京の有楽町や広尾も適わない、奇跡の繁盛店でした。
お酒の小売免許は、以前は移転することができず、街の中でもなく、郊外の駐車場付きでもないこの小さな酒屋は、どんなコンサルタントの方に診断していただいても、
「最低の立地。商売することが無理。」
と、言われた場所でした。
ヴィノスやまざきは、1913年、静岡市葵区常磐町2丁目(現在の本店)に行商をした創業者・山崎豊作が小さな酒屋を開店したのが、その始まりでした。
二代目・山崎巽の代になると、スーパーやコンビニがお酒を扱うようになり、廃業も決意した時に、出会った教えが、
「店はお客様のためにある。」
という言葉。
「本当にお客様の欲しいもののためなら」と、灘の大手酒蔵に原料酒として売られていた静岡の地酒を買い取り、静岡県の工業試験場の河村伝兵衛さんと共に、静岡の酒の品質向上に尽力し、全国区にまで引き上げました。
現在、全国の有名店で販売されている静岡の酒は、そのほとんどが、山崎が「蔵のためになるなら」と、競合の酒屋にまで紹介し、広めていったものでした。
息子のいなかった山崎は、廃業をまた決意しようとした時、「酒屋は嫌」と言って商工会議所の国際部門で仕事をしていた娘が、
「ここでワインの商売をやらせて。免許とのれんを貸してほしい・・・家賃も払うから。」
と、ワインの商売を始めたのです。
当時、酒屋の経営を女性がするということ自体、類がなかったのですが、父から引き継いだDNA「店はお客様のためにある。」を、今度は、難しいワインで挑戦することになったのです。
ワインの勉強をして有名ワインを販売するも、地方ではなかなか売れず、
「もっと手頃で美味しいワインはないの?」
のお客様の声に、当時は無名だった、フランス・ラングドックのワインを、銀行に飛び込み借金を申し込み1コンテナ仕入れた・・・それが始まりでした。
あまりにも書き残したい思い出が沢山あり、一日ではお伝えしきれないので、この続きは、また。
そんな「ヴィノスやまざき」を象徴する、
今では静岡を代表する蔵元となった「磯自慢」
先代・山崎巽の名を冠した、特別な静岡吟醸「巽酒」
そして、蔵直第一号ワイン「シャトー・レゾリュー 赤ラベル」
本日より先行で、特別価格でご案内いたします。
ぜひ静岡本店で、お手に取っていただければ幸いです。
三代目 ヴィノスやまざき取締役社長 種本 祐子
【プロフィール】
静岡県生まれ。1987年、実家である山崎酒店に入社。先代から受け継いだ「店はお客様のためにある」の思いで、フランスの無名産地より安くて美味しいワインの直輸入を決意。生産者の元を自分たちの足で訪問・交渉し、お届けする「蔵直便」のワインビジネスを始める。直輸入型ワインショップ「ヴィノスやまざき」を全国に24店舗展開する。