「スパークリングワインとは?呼び名や種類、製法、選び方などをわかりやすく解説」

華やかな色彩と幅広く食事に合わせられることから、お祝いの席を初め色々なシーンで選ばれるスパークリングワイン。
スパークリングワインとは発泡性のワイン全体を表す言葉です。そのため一口にスパークリングワインと言っても、使用されるぶどう品種や生産地によって呼び名が変わり、その製法や味わいも多岐にわたります。
今回はスパークリングワインをより深く楽しむために、種類や製法、選び方についてわかりやすく解説していきます。

スパークリングワインが入ったグラス2個

スパークリングワインとは?

スパークリングワインのボトルがバスケットで冷やされている

スパークリングワインとは、3気圧以上の炭酸ガスを含んだ発泡性ワインのことです。炭酸ガス圧が1~2.5気圧のワインは弱発砲性ワインとして区別されています。
気圧が高ければ高いほど、ワインには多くの炭酸ガスが溶け込んでいます。つまり炭酸ガス圧の高いスパークリングワインは、その魅力の一つである泡が長持ちするということになります。
スパークリングワインのはじまりは、冬の寒さでワインの発酵が一時的に止まり、春に温かくなって発酵が再開する事でワインに炭酸ガスが閉じ込められ、泡の出るワインが出来たからだと言われています。
ロゼや赤のスパークリングワインもありますが、最も一般的なのは白のスパークリングワインです。

スパークリングワインとシャンパーニュ(シャンパン)の違い

ワインがグラスに注がれている
スパークリングワインと聞くとシャンパーニュ(シャンパン)を思い浮かべる方も多いと思います。
スパークリングワインの代表格と言えるシャンパーニュですが、先の章でお伝えしたようにスパークリングワインは発泡性ワインの総称にあたるため、シャンパーニュもその中の一部ということになります。

では何を持って「シャンパーニュ」と呼ぶのでしょう。それは産地・品種・製造方法という三つの条件を満たしたワインを指します。「シャンパーニュ地方で決められた製法と品種を用いて造られたワイン」ということですね。

過去には勝手に「シャンパーニュ」を勝手に名乗りワインを販売する事例もありましたが、現在では法整備が進み、基準を満たしたワインだけがシャンパーニュを名乗ることが出来ます。

スパークリングワインの呼び名や種類

ワインボトル4本とグラス2個が並んでいる

シャンパーニュ以外にもスパークリングワインには様々な種類が存在します。それぞれ産地や品種の違いにより異なる個性を持つワインです。
ここからはスパークリングワインの代表的な種類についてご紹介します。

ヴァン・ムスー

◆ヴァンムスー
ヴァンムスーはフランスで造られるスパークリングワインの総称です。フランス語で「ヴァン」=ワイン、「ムスー」=泡の意味となります。
シャンパーニュ以外にも、ボルドー地方やブルゴーニュ地方など各地域でスパークリングワインが造られているのです。
これらのワインはフランス産の質が良いものでありながら、お手頃な価格であることが多く、その違いや特性を知ることでより自分に合ったワインを選べるようになります。

・代表的なヴァンムスー
《シャンパーニュ》
・産地:シャンパーニュ地方
・主要品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ
・製造方法:トラディショナル方式(シャンパーニュ方式)
・炭酸ガス圧:5~6気圧
伝統的な製法がもたらすきめ細かい泡と、澱の残滓と一緒に熟成することで生まれるきれいな酸味、豊かな香りが特徴です。

《クレマン》
・産地:アルザス、ボルドー、ブルゴーニュなど8の地方※
・主要品種:各地方によって個別に制定
・製造方法:トラディショナル方式
・炭酸ガス圧:3.5気圧
優しい泡立ちと品質に対してリーズナブルなことが特徴。生産地によって多様なスタイルに分かれています。

スプマンテ

◆スプマンテ
イタリアで造られるすべてのスパークリングワインの総称を、スプマンテと呼びます。
微発泡のタイプはフリッツァンテと呼ばれ、スプマンテと区別されています。

代表的なスプマンテ
《プロセッコ》
・産地:ヴェネト州
・主要品種:グレーラ
・製造方法:シャルマ方式
フレッシュでフルーティーな味わいにほのかな苦味が溶け込んだ辛口スパークリング。

《アスティ》
・産地:ピエモンテ州
・主要品種:モスカート・ビアンコ
・製造方法:アスティ方式
果実味豊かな甘口スパークリング。ワイン初心者にもおすすめの華やかなタイプです。

エスプモーソ

◆エスプモーソ
スペインでは発泡性ワイン全体をエスプモーソと呼びます。
その中でも代表格であるカヴァは、シャンパーニュと同じ製法で造られ、リーズナブルな価格ながら美味しいスパークリングワインとして知られています。

代表的なエスプモーソ
《カヴァ》
・産地:カタルーニャ州中心
・主要品種:マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ
・製造方法:トラディショナル方式
製法はシャンパーニュと同じですが、シャンパーニュと比べて酸味は穏やかです。飲みやすいものが多く、日本にも広く流通しています。

シャウムヴァイン

◆シャウムヴァイン
シャウムヴァインはドイツ産のスパークリングワイン全体を指す呼び名です。その中でより厳しい基準をクリアしたワインが「ゼクト」です。4つの製法が認められているのが特徴で、デイリーの気安いものから高品質なものまで幅広いスタイルのワインが造られています。

代表的なシャウムヴァイン
《ゼクト》
・産地:ドイツ
・主要品種:リースリング、ピノ・ノワール、エルブリング
・製造方法:トラディショナル方式、トランスファー方式、シャルマ方式、リュラル方式

スパークリングワインの製法

スパークリングワイン4本が冷やされている

ワインを造る際に行われる発酵では、アルコールと二酸化炭素が発生します。この二酸化炭素を頑丈な容器に閉じ込めることで、ワインに泡を付与することができます。
各国で採用されている製法は以下の5つです。

トラディショナル方式

◆トラディショナル方式(瓶内二次発酵方式)
まず一度アルコール発酵を行い、瓶詰めした後に酵母と糖を追加し二度目の醗酵を行う方法です。伝統的な製法で、最も手間と時間がかかる造り方になります。心地よい泡が溶け込み、豊かな香りを持つワインが多い印象です。
採用されているワイン:シャンパーニュ、カヴァ

シャルマ方式

◆シャルマ方式
大きな密閉タンクで二次発酵を行う方式です。トラディショナル方式と比較して、澱とワインの接触は少なく、熟成期間も短くなります。一度に大量の生産が可能で、フレッシュなワインが出来上がります。
採用されているワイン:プロセッコ

トランスファー方式

◆トランスファー方式
トラディショナル方式と同じように瓶内で二次発酵を行う方式ですが、澱を取り除く工程をタンクに移してまとめて行う点で異なります。トラディショナル方式よりコストを抑えることができる製法です。

リュラル方式

◆リュラル方式
田舎方式とも呼ばれ、一次発酵の途中で糖分を維持したワインを瓶に詰める方式です。そのまま発酵を終えることで炭酸を持つワインを造ります。澱を取り除かないことが多いことが特徴です。
古い製法で、現在では南フランスの一部で採用されています。

炭酸ガス注入方式

◆炭酸ガス注入方式
文字通り外から炭酸ガスを注入する製法です。少ないコストで生産できますが、強制的に炭酸を付与しているため泡の持続性には乏しい部分があります。
安価なスパークリングワインに採用されていることが多いです。

スパークリングワインの選び方

選んだワインを手に取っている男性

ここまでスパークリングワインの種類や特徴についてご紹介してきました。ここからは、自分でワインを選ぶ際の3つのポイントについてお話ししていきます。
《スパークリングワイン選びのポイント3つ》
・産地
・製法
・残糖度

産地

1つ目のポイントは“産地を絞って選ぶ”ことです。
スパークリングワインは世界中で生産されていますが、まずは王道の生産地フランス・イタリア・スペイン・ドイツから選んでみましょう。
これらの産地のスパークリングワインは各々の基準をクリアした、一定以上の品質をもつワインです。流通も多いため、飲み比べもしやすいという面もあります。
はじめの内はこれらの産地から選んでいくと良いでしょう。

(表)
産地 スパークリングワインの総称 代表的な種類
フランス ヴァンムスー シャンパン/クレマン
イタリア スプマンテ プロセッコ/アスティ
スペイン エスプモーソ カヴァ
ドイツ シャウムヴァイン ゼクト

製法

2つ目のポイントは製法です。スパークリングワインには5つの製法があります。
それぞれ出来上がるワインに異なる特徴があるため、知っているとお求めのシーンに近いものを選ぶことができるようになります。

(表)
製法 特徴
トラディショナル方式 丁寧な造りのスパークリングワイン。お祝いなどフォーマルな場面にオススメ。
シャルマ方式 ぶどう本来の風味を楽しめる。デイリー使いにオススメ。
トランスファー方式 コストパフォーマンスを重視して飲みたい時にオススメ。
リュラル方式 いつもとは変わったスパークリングワインを飲みたい時にオススメ。
炭酸ガス注入方式 最も安価なスパークリングワイン。とりあえずスパークリングワインを飲みたい時にオススメ。

甘辛度

3つ目のポイントは味わいです。
スパークリングワインには品種とそのブレンド以外にも、ワインに残っている糖分の量によって甘辛度が違います。この違いを知っていると好みに近いワインを選ぶことができます。
7段階に分かれているため、それぞれ飲み比べてみるのも楽しいです。
ここではフランスにおける残糖度の違いを表で見てみましょう。Brut(ブリュット)が辛口とされていて、最も目にするタイプです。

(表)
残糖度 名称
Dosage Zero(ドサージュ・ゼロ)Brut Nature(ブリュット・ナチュール) 3g/L未満
Extra Brut(エクストラ・ブリュット) 0~6g/L
Brut(ブリュット) 12g/L未満
Extra Dry(エクストラ・ドライ) 12~17g/L
Sec(セック) 17~32g/L
Demi Sec(ドゥミ・セック) 32~50g/L
Doux(ドゥー) 50g/L以上

ヴィノスやまざきおすすめスパークリング10選

ここからはヴィノスやまざきおすすめのスパークリングワインを〈王道シャンパーニュ〉〈シャンパーニュに負けないスパークリング〉〈プロセッコ〉〈家族経営の蔵元〉に分類してご紹介します。

モンマルト・ブリュット

モンマルト・ブリュット スパークリング白 フランス シャンパーニュ地方

モンマルト・ブリュット|ヴィノスやまざき|ワイン通販

フランス シャンパーニュ地方の自社畑から取れる質の高いぶどうから生まれる奥深い味わいのスパークリングワイン!美味しさの秘訣は6世代に渡って守ってきた情熱。瓶内での2年間熟成から来る、複雑な香りやコク、柔らかな泡が特徴です。

ジャン・ミラン・トラディション・ブリュット

ジャン・ミラン・トラディション・ブリュット|ヴィノスやまざき|ワイン通販

有名メゾンにもぶどうを卸していたぶどう農家が造る、フランス シャンパーニュ地方のスパークリングワイン。「より気軽にシャンパーニュを楽しみたい」というお客様の声から誕生しました。シャルドネ100%で表現する、きめ細かな泡と爽やかな酸味、柔らかな果実味が特徴です。

パラウ レセルバ カバ ブリュット 

パラウ レセルバ カバ ブリュット |ヴィノスやまざき|ワイン通販

シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られた、スペイン カタルーニャ州のスパークリング。通常のカヴァより長い熟成を行ったワンランク上のカヴァです。・熟した果実の風味、トーストの香り、上品な酸味がバランス良く感じられます。

パラウ カバ ブリュット

パラウ カバ ブリュット |ヴィノスやまざき|ワイン通販

こちらも同じ蔵元が手掛けるスペイン カタルーニャ州のスパークリングワイン。コスパ抜群で毎日飲みたい1本です!幅広い食事に合わせられ、デイリー使いにオススメです。フレッシュな果実味とキレが見事に調和し、クリーミーな泡が感じられます。

モンマルサル エクストレマリウム

モンマルサル エクストレマリウム|ヴィノスやまざき|ワイン通販

こちらも同じ蔵元が手掛けるスペイン カタルーニャ州のスパークリングワイン。リピート率No.1スパークリングワインです!有機認証を獲得し、さらに品質が向上したヴィンテージカヴァ。カヴァ主要3品種だけでなく、樽発酵のシャルドネを贅沢にブレンドした一品です。

カ・ボッタ プロセッコ

カ・ボッタ プロセッコ|ヴィノスやまざき|ワイン通販

ほぼ全てのワインに、陰干ししたぶどうを用いるこだわりの蔵元が造る、イタリア ヴェネト州のスパークリングワイン。ぶどうの旨みがぎゅっと詰まっています。華やかな外観でプレゼントにもオススメです。

コルテ・ノア プロセッコ

コルテ・ノア プロセッコ|ヴィノスやまざき|ワイン通販

多くのレストランにワインがオンリストされる蔵元が造る、イタリア ヴェネト州のスパークリング。ぶどうのストレートな香りと、ハーブのような爽やかな香りが特徴的で、癖がなく、アペリティフから食後まで通して楽しめます。

ノーブル・ヒル・ブラン・ド・ブラン

ノーブル・ヒル・ブラン・ド・ブラン スパークリング白 南アフリカ パール地区

ノーブル・ヒル・ブラン・ド・ブラン|ヴィノスやまざき|ワイン通販

南アフリカでは珍しい自社ぶどうからワインを造る家族経営の蔵元が造るスパークリング。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵を採用しています。長期熟成から生まれる豊かなコクと爽やかな酸味をお楽しみいただけます。

ガルソン スパークリング ロゼ ブリュット ナチュール

ガルソン スパークリング ロゼ ブリュット ナチュール|ヴィノスやまざき|ワイン通販

南米ウルグアイ産の極辛口ロゼスパークリングワイン。専門誌では世界TOP100ワインにも選出されたことのある実力派蔵元で、果実味、酸、細やかな泡のバランスが良い一品です。

プロジェニー エクストラ・ブリュット

プロジェニー エクストラ・ブリュット|ヴィノスやまざき|ワイン通販

アルゼンチン屈指の銘醸地を切り開いた父の意志を継ぐ蔵元が造るスパークリング。クリーミーな泡立ちで、口当たり良く飲みやすい味わいです。かつて女性審査員によるコンペティションにて最高金賞を獲得しました!

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回の記事をまとめると以下になります。

・スパークリングワインとは発泡性ワインの総称
・生産地によって呼び名や種類は異なり、その味わいも多様

ぜひ今回の記事をきっかけに、いろいろな産地やタイプのスパークリングワインを楽しんで、自分だけのお気に入りを見つけてみてください。

 

この記事を書いた人

流山店 店長 関口 杏菜

流山店 店長 関口 杏菜

JSAソムリエ。サクラアワード審査員に複数回参加。2013年入社。
ニュージーランド・ウェリントン生まれという生い立ちから「ニュージーランドと日本の架け橋になる!」と意気込んで入社したものの、他の国のワインの奥深さを知り気づけばワイン沼にはまってしまう。有楽町店、西武つくば店、ルミネ北千住店、流山おおたかの森店などに勤務。二児の母で趣味は絵を描くこと、パン作り、美味しいものを食べること。
いつかニュージーランドの買付に行って、さらにニュージーランドの魅力を広めるのが夢。

最近、名前の由来が「英語で書きやすいから」だったことを知りショックを受ける。

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