アルゼンチンワインと聞くと、多くの方がまず「マルベック」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、現地で「本当に素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンを造る生産者」として高い評価を受け、ワイン専門誌でもNo.1に選ばれた実力派ワインがあります。
それが、「アングロ・イノチェンティ」です。
約10年ぶりに現地を訪れ、創業家のマリア・イノチェンティさんと再会したことで、改めてこのワイナリーの魅力と情熱に深く心を動かされました。

ワイナリーが位置するのは、標高1,000mを超えるアルゼンチン屈指の銘醸地、ウコ・ヴァレー南部のラ・コンスルタ地区。

昼夜の寒暖差が大きく、ぶどうがゆっくりと時間をかけて成熟することで、凝縮感と気品を兼ね備えた高級ワインが生まれる産地として知られています。
その中でもアングロ・イノチェンティは、歴史と伝統ある自社畑を所有し、GI(地理的表示)にも認定された恵まれたテロワールを守り続けています。
この地を切り拓いたのは、フランスとスペインの国境にあるバスク地方出身のペドロ・アングロ氏と、イタリア・トスカーナ出身のアンジェロ・イノチェンティ氏。
理想のワイン造りを求めて新天地アルゼンチンへ渡り、何もない土地から畑を築き上げました。
現在は3代目となるミゲル・アンジェロ氏がその想いを受け継ぎ、2001年にラ・コンスルタで本格的に畑を取得。
いまでは約150haもの畑を所有するまでに成長し、優れた栽培農家として名を馳せています。
ワイナリー名も新たに「ファミリア・イノチェンティ」としてスタートし、新時代への歩みを進めています。
彼らのぶどう品質は非常に高く、自社畑で収穫されるぶどうの約85%は、有名ワイナリーへ供給されているほど。

その中でも、本当に納得できる区画のぶどうだけを厳選し、自社ワインとして瓶詰めしています。
醸造を担うのは、女性醸造家のビルヒニアさん。

ファミリア・イノチェンティの哲学を大切にしながら、果実味と酸味の美しいバランスを追求したワイン造りを行っています。
洗練されていながらも力強く、土地の個性をまっすぐに感じられる味わいが、多くのワインファンを魅了しているんですね。
10年前に訪れた際にもお会いしましたが、今回再会して感じたのは、醸造家としてさらに大きく成長していることでした。
経験と自信に裏打ちされたその姿からは、ワインへの深い愛情と誇りが伝わってきます。
現在では醸造責任者として、世界のワイン専門誌でも高い評価を獲得しています。
過去には数々のワイン誌で90点以上を獲得。
さらに『ワインスタイル(日本経済新聞出版社)』誌の「デイリーワイン王座決定戦」赤ワイン部門でBEST1に選出された実績も誇ります。


トップソムリエからは、
「骨太で端正な貴公子。肉料理のためにこの世に生まれたワイン」
と称賛されました。
カベルネ・ソーヴィニヨンは、丁寧に手摘みで収穫されたぶどうを低温でゆっくり発酵。
ステンレスタンクとコンクリートタンクを併用し、さらに2〜3年使用した古樽で7カ月熟成させることで、果実味を活かしながら穏やかな樽香をまとわせています。

力強い骨格を持ちながらも、チョコレートやカカオを思わせる深み、そして上質な酸が調和した味わいは、まるでボルドー格付けワインを思わせるような風格。
飲み進めるほどに、その奥行きとエレガンスに魅了されます。
ラベルには、自社畑が広がるウコ・ヴァレーの風景を背景に、アングロ家の「A」とイノチェンティ家の「I」を重ね合わせたデザインが描かれています。
二つの家族の想いと愛情が込められた、象徴的なラベルです。

今回案内してくださったマリア・イノチェンティさんは、創業ファミリーの一員。

学生時代には日本でホームステイを経験しており、
「日本で私たち家族のワインをご紹介いただけることが本当に嬉しいです」
と笑顔で語ってくれました。
三世代にわたり挑戦を続けるその姿勢は、私たちヴィノスやまざきの想いとも重なります。
土地を愛し、人を大切にし、より良いワインを追い求める情熱。
ファミリア・イノチェンティのワインは、これからさらに進化していくので楽しみです。
買付隊 福井


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