家飲みでワインを美味しく楽しむのに欠かせない、重要なポイントの一つが、ワインの「温度」です。
「赤ワインは常温で、白ワインとスパークリングワインは冷やして」がルール、と覚えていらっしゃる方も多いと思います。
しかし、これはあくまで大原則。
ワインに「必ずこう飲まなければいけない」なんて堅苦しいルールはありません。
これからの季節、お肉料理に赤ワインを合わせたいけれど、暑くて飲みづらいな…と感じることもあると思います。そんな時、私たちワインのプロも、赤ワインを軽く冷やして楽しむことがよくあります。
ただし、ワインの種類によっては、冷やすとせっかくのワインの良さが損なわれてしまったり、飲みにくくなってしまうことも…。
そう、赤ワインを冷やして楽しむためには、ワイン選びが肝心です。
そこで本日は、「冷やしても美味しい赤ワイン選び」のポイントをご紹介いたします。
【ポイントその1】 渋みが少ないワインを選ぶ
「赤ワインは常温で」と言われる最大の理由が、赤ワインに豊富に含まれる、渋み成分の「タンニン」。
タンニンは低い温度で強く感じやすくなるため、タンニンが豊富なフルボディのワインは、冷やすと渋みが増したように感じ、飲みにくくなってしまいます。
冷やして楽しみたい時は、ワインの裏ラベルにある味わいチャートで「重い」ものや、味わいで「渋みがしっかり」と書いてあるものは、避けるのがおすすめです。
【ポイントその2】 フルーティな味わいのワインを選ぶ
フルーティな味わいの赤ワインは、冷やして飲むとフレッシュな果実味が引き立てられて、現地では冷やした方が一般的であることも。
選ぶ時には、比較的温暖な地域のカリフォルニアやチリ、オーストラリア、欧州なら南フランスやスペイン、南イタリアなどのワインがおすすめです。
【ポイントその3】 ぶどう品種から選ぶ
ポイント【1】と【2】を満たしたぶどう品種がいくつかありますので、品種から選ぶのも一つの方法です。
おすすめは、渋みが少なくエレガントな「ピノ・ノワール」や「ガメイ」。
そして、ジューシーな果実味がたっぷりのカリフォルニア産「ジンファンデル」や、南フランスやスペイン産の「グルナッシュ」。
その他、南イタリアの地ぶどうから造られるワインもおすすめです。
まとめると、「渋みが少なく、果実味たっぷりでフルーティ」な赤ワイン。
これが、冷やして召し上がるのに、おすすめのポイントです。
このポイントに当てはまる、私のとっておきの一本がございますので、ご紹介いたします。
ディ・ジョヴァンナ ヴリア ネレッロ・マスカレーゼ
このワインが造られるのはイタリアの最南端、地中海に浮かぶシチリア島。
家族経営の蔵元「ディ・ジョヴァンナ」のもとを訪ね、そのこだわりを自分の目で見てまいりました。
ディ・ジョヴァンナは、「サンブーカ」と呼ばれる小さな村で、グンターさんとクラウスさんの兄弟でワイン造りを行っています。
訪問してまず驚いたのは、標高がとても高いことです。案内をしてくれた兄のグンターさんは、
「シチリアで最も標高の高い畑の一つで、海抜900m以上になるんだ。」
と語ってくれました。
この標高で、シチリア島の中では比較的冷涼かつ日照量の多い環境は、シチリア島の中でトップクラスに優れており、多くの有名ワイナリーもこの地区に畑を所有しているほどです。
ディ・ジョヴァンナのこだわりは、オーガニックなぶどう栽培です。
EUの厳格な有機認証を取得し、殺虫剤や除草剤などは一切使用していません。
今回タイミングよく畑仕事に立ち会うことができ、
「どの枝を残したら良いぶどうが実るかを考えて剪定している。だから、手作業にこだわるんだ!」
とグンターさんが語ってくれました。
確かに…!と、ぶどう畑を見慣れているはずの買付隊も感心するほどの、完璧に手入れされたきれいな畑でした。
こうして造られたワインをテイスティングさせていただくと、どれも果実味たっぷり。
思わず「本当に美味しい…!」と、自然と口から出てしまうほどで、ぶどうの果実味が自然に身体に染み込んでいくような感覚になりました。
特に、シチリアの地ぶどうの「ネレッロ・マスカレーゼ」から造られる赤ワインは、非常になめらかでエレガントな味わい。現地では、冷やしてマグロやトマトに合わせて楽しまれているそうです。
これまで暑い日に赤ワインをあきらめていた皆さま。
今年はぜひ、冷やして楽しめる赤ワインを試してみてくださいね。
そして本日のおすすめの一本が入った「家飲みの達人セット」で、ぜひ家飲みをお楽しみください!
WEB SHOP店長 井山