南フランスの直輸入から、新大陸、カリフォルニアワインの輸入のイノベーターとなり、南半球の無名なワインまで探し出してくる…
そんなヴィノスやまざきの買い付け隊が「難しい」と思うのが、フランスのブルゴーニュワインです。
赤はピノ・ノワール、白はシャルドネの単一品種で造られます。
ロマネコンティからシャブリまで、有名ワインも多く、繊細なピノ・ノワールとシャルドネは、村や畑、そして造る人によって味わいや風味も違います。
誰もが美味しいと思えるものは、生産量も少なく、価格も高い…
それ故、コストパフォーマンスのあるワインを見つけるのはなかなか難しいと思うのです。
が、だからこそ、そこに惹かれるワインマニアも多く、赤のピノ・ノワールや、白のシャルドネのマニアは少なくありません。
そんなワインマニアの一人、お客様のH氏は、世界のワインを飲みつくし、ブルゴーニュワインのコレクターです。
そのH氏が、ブルゴーニュに負けないと愛してやまないのが、ジョセフ・スワンというカリフォルニアワイン。
カリフォルニアワインの銘醸地ソノマの中でも、トップクラスの品質を誇るブルゴーニュスタイルのワインを生み出す産地、ロシアン・リヴァー・ヴァレーのワインです。
シャルドネは酸がしっかりのり、旨味が柔らかな樽の風味とともに口に広がり、ピノ・ノワールは、もう「これぞピノ・ノワール」というような酸味と、旨味と、奥行のある風味が感動的。
「もう、これは、ブルゴーニュの畑名のついた高級ワインだ。。
こんなに美味しい、カリフォルニアワインは飲んだことがない。
一体、誰が、このワインを仕入れてきたのですか?」
と、お客様にも聞かれたのですが、実はこのワイン、ヴィノスやまざきの新鋭バイヤー保坂の買い付けてきたものなんです。
保坂によると、ジョセフ・スワンは、ワインの歴史に残る素晴らしい蔵元でありながら、大きなティスティングルームや商業的なことに一切興味がなく、「高品質のワインを造ることだけ」にフォーカスしている農家だということ。
なので、日本ではあまり知られていないワインだったのです。
現地の取引先の蔵元に紹介してもらい、たどり着いたと言います。
そんなジョセフ・スワンの魅力はこちらです。
①高級ピノ・ノワールを語るうえで外せない、ロシアン・リヴァー・ヴァレー、そしてスワンクローンの産みの親
創業者ジョセフ・スワンさんと、現在のオーナーでもありワインメーカーでもあるロッド・バーグランド氏が、まだ高品質のカリフォルニアワインがなかった頃から、自ら畑を選び、そしてなんとフランスの銘醸畑のぶどうのクローンまで選定して造ってきました。
いまや名産地となっている、ソノマのロシアン・リヴァー・ヴァレーの冷涼な気候に着目し、この地に最初にピノ・ノワールを植えたとされるパイオニアです。
彼らがブルゴーニュの銘醸畑から持ち込んだクローンは、今や、カリフォルニアの高級ピノ・ノワールを語るうえではなくてはならないトップ ヘリテージ クローンの一つ「スワンクローン」となり、この蔵元の畑から広がっていきました。
(彼らは大元となった自分たちの畑のぶどうをクローンではなく、「スワン・セレクション」と言っています。)
ロシアン・リヴァー・ヴァレーのピノ・ノワールが、カリフォルニアらしさの中に、ブルゴーニュの複雑味・高級感が漂う所以はここにあったのですね。
②あの超有名ワイナリーの畑より標高高く自然な畑で、徹底した低収量
彼らの代表する畑トレントン・エステートは、まるでブルゴーニュの畑名ワインのようにエレガントでありながら力強く、しっかりとした酸がありながら、柔らかな旨みがからみあう…
カリフォルニアのピノ・ノワールのいわゆる「ジャミー」なイメージとは、かけ離れた完成されたブルゴーニュスタイルです。
ナパ・ヴァレーの数10万円するカルトワイナリーのピノ・ノワールよりもブルゴーニュらしいかもしれません。
無濾過で仕上げられる自然な味わいは、あのプリュレ・ロックを彷彿させます。
シャルドネは、カリフォルニアの同品種のグランクリュの一つともいわれる「リッチー・ヴィンヤード」のぶどうを使用。非常に人気があり希少なこの畑のぶどうを使用できるのも、彼らの人脈があればこそ。
フレッシュさや果実味が全面にくるタイプではなく、旨味と樽の風味が一体となり、心地よい、徹底した高級ブルゴーニュスタイルです。
「まるで、コルトン・シャルルマーニュ(超高級特級白ワイン)のようだ」と、ブルゴーニュの大ファンの店長もつぶやきました。
③ビジネス的なワイナリーとは違う、ワインのために人生をかけてきたゴッドファーザー
商売には興味がないのが、ロッドさん。
とにかく、収量を少なく少なくするのが、高品質ワインを造る秘訣だと、若い時に高級ブルゴーニュに学び、今でも徹底的に実践しています。
そして、ナパ・ヴァレーのフランシス・マホニーさんと共に、自分達の苗木をカリフォルニア大学ディヴィス校(醸造の世界レベル)に提供し、カリフォルニアワインの品質向上にも尽力してきました。
ワインの状態に納得がいかないと、出荷してくれないため、熟成するまで待つ必要があり、なかなか手に入りにくい時もあります。
マーケティングの得意なワイナリーならば、数十万にしてしまうかもしれないワインを、現地の蔵元とのネットワークで探し、わけてもらえるようになった保坂は、カリフォルニアワインのバイヤーとしては自分を超えた...と、思うのです。
が、保坂は、
「このワインに出会えたのは、ヴィノスやまざきが30年にわたって、多くの造り手とネットワークを作ってきたからなんです。ロッドさんは、ロシアン・リヴァー・ヴァレーのゴッドファーザーと言われても、それは先代のジョー・スワン氏のおかげだと言っていました。ワインは、一代ではないですよね。」
と、バトンを繋ぐことの大切さを理解していました。
あまりにも分けて頂く量が少なく、なかなかご紹介の機会もありませんが、もしお目にとまったら絶対にお楽しみ頂きたい。
そんなヴィノスの隠れた人気ワインがジョセフ・スワンなのです。
ジョセフ・スワンのワインはこちら
ヴィノスやまざきファウンダー
種本祐子