本当に奇跡の出会いでした!


昨日のブログでもご紹介をさせて頂きましたが、「ドメーヌ・ジボー」「プティプロ」どちらの蔵元も思い入れの深いところで、とても語りつくせない思い出があります…。

特に、「ドメーヌ・ジボー」はわたくしがまだ入社したての頃に行き、買付の大変さを身に染みて味わった蔵元です。

フランス、ロワール地方は白ワインが有名であり、当時ヴィノスやまざきの買い付け隊も お客様からの「美味しいロワールの白ワインが欲しい」という声で、まだ見ぬワインを探しにフランスヘ向かいました。
現地に着き、まずは有名な生産者から見てみよう…とワイナリーを予約し、見学に伺いました。

試飲をした正直な感想としては「さっぱり、すっきりして飲みやすいワインだな」 という程度です。 その後も何軒か蔵元を回りますが、どれも全て同じような味にしか感じられません。

この地方での白ワインは『ソーヴィニヨン・ブラン』という品種のものが多く、 瑞々しい…悪く言えば完熟手前のまだ青いグレープフルーツのような、そしてアスパラガスや若草の様ないわゆる『青い香り』が特徴で、特にロワールのものはその『青さ』が際立っているものが多いように感じます。

その日から何日も何日も、朝から夜まで蔵元を回りますが、どこも同じような味で 「これだ!」というものにはなかなか出会えず…。

しかも、ロワールはフランスの中でもとくに寒い地域!
わたしたちが訪れたのは夏場でしたが、ロワール地方はフランスワイン産地の北部にあり、緯度でいうと北海道をゆうに超え、樺太の半ばあたりの場所となります。

夏の最高気温が25度を下回る日も少なくなく、特に日が落ちるとダウンジャケットが必要なほど冷え込んでくるのです。 さらには、ソーヴィニヨン・ブランによる『青いワイン』ばかりを飲んでいるため、 そういったワインの特徴である『しっかりした酸味』が身体の中をキーンと巡り、より寒さを増幅させてしまっていました。

買い付け隊がロワールに滞在できる日程の最終日… 日も暮れ、寒さと疲労で体はヘトヘト。
時間的にも、体力的にもロワール最後の蔵元訪問。

「ロワールには私たちの美味しい!と思えるワインはないのかもしれない…」
「もうロワールのワインは輸入をやめようか…」

そう諦めかけていた時、まさに運命的なワインと出会いました。
ソーヴィニヨン・ブラン100%なのに、熟れた桃や洋梨の様なジューシーなコク、 まるでリンゴの蜜のところだけを集めたかのような透明感… 買い付け隊全員が「これだ!」と声に出してしまう程の美味しさでした。

そのワインはこちら、「ジボー・ソーヴィニヨン・ブラン」です。

ロワール、トゥーレーヌという場所で家族経営を行い、こぢんまりとした ぶどう農家・兼ワイナリーという蔵元です。

畑を見に行くとぶどうの樹は腰よりも低く植えられ、地面からの熱がしっかりぶどうに伝わり、甘みの強い粒になります。
しかもすべて手摘みでその低い位置のぶどうをひと房ひと房、確かめながら収穫します。

また驚くべきことに、収穫時期は地域でも一番遅く徹底的に完熟を待つため、周りには心配される程・・・
そうやってぶどう栽培からこだわるからこそ、ソーヴィニヨン・ブランとは思えないほどの果実味、フルーティーさが生まれるのだと、われわれ一同納得しました。

日本に帰り、ヴィノスやまざきのお店で販売を始めると、お客様からは想像以上の反響が!

「こんなに果実感のあるソーヴィニヨン・ブランは初めて!」
「え、全然品種のイメージと違うワインですね!」
というお声に加え、
「このワインが好きで、ヴィノスやまざきに入社を決めました!」
という若手社員や、個人的に購入しインスタに上げているスタッフもいるくらい、社内でも大人気。

いまでは白ワイン売れ筋No,1に挙げられることも多く、店頭の在庫がなくなってしまったときには、ケース単位で入荷待ちのお客様がいらっしゃいます。
またその後現地のソーヴィニヨン・ブラン品種の世界大会ではこの蔵元のワインが1位を取り、名実ともにNo,1の座を獲得したのです。

「本当にこのワインに出会えてよかった。このワインを飲まなかったら、きっとソーヴィニヨン・ブランを嫌いになってしまっていたかもしれない・・・。」
当時を振り返ると、心からそう思います。

昨日の動画でもありましたが、今年2020年は天候も良く収穫も早まり、ぶどうにとっては最高の年になりそうです。
家族経営なのでワイン造りも通常通りの運営を続けていますが、普段ひいきにして頂いている地元やパリのレストランなど、飲食店への流通がなくなってしまっている状態がとても悲しい、と言っていました。

※こちらの写真をクリックして頂ければ、蔵元からのメッセージをご覧いただけます。

私たち日本も、一部地域を除き全国的に緊急事態宣言が解かれ、経済や生活の再建をするのに大事な時期でありますが少しだけ想いを馳せ、ワインを飲みながら遠いフランスの大地で頑張っている生産者を応援してみてはいかがでしょうか。
…長くなりましたので、今日はここまで。
もう一つの蔵元、「プティプロ」はまた別の日にご紹介をさせていただきますね。

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