蔵直(R)物語 シャトー・ムーラン・オーラロック
長年ご愛顧いただいているお客様には、「エルヴェさんのワイン」として親しまれているシャトー・ムーラン・オーラロック。
ボルドー右岸フロンサックを代表する家族経営の蔵元です。
ボルドーの商取引の常識にとらわれず、
「お客様の顔が見える人にしかワインを売らない」という信念を貫き、品質と信頼を何よりも大切にしてきました。
粘土石灰質の優れたテロワールと平均樹齢65~70年の古木から生まれるワインは、
凝縮感のある果実味と長期熟成にも耐える奥深い味わいが魅力です。
今回は蔵元の来日を記念して、シャトー・ムーラン・オーラロックの歴史やこだわり、そしてヴィノスやまざきとの長年の歩みをご紹介いたします。
ぜひこの機会に、エルヴェさんが情熱を注ぐフロンサックの銘酒をご堪能ください。
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本格派ロゼワイン
本格派ロゼワイン
シャトー・ムーラン・オーラロックのこだわり

30年前に出会った「本物の農家シャトー」
ヴィノスやまざきがワインの直輸入を始めた1990年代。
実は、南フランスだけでなくボルドーワインの買付けにも挑戦していました。
ところが、当時扱っていた人気ワインの価格が上昇し、最終的には別のインポーターへ。
「お客様に美味しいワインを手頃な価格で届けたい」という私たちの想いと、ボルドーの商取引との間に大きな壁を感じ、一度は「もうボルドーはいい」と思うほどの挫折を味わいました。
そんな時に出会ったのが、フロンサック村のシャトー・ムーラン・オーラロックです。
華やかなシャトーではなく、畑の前に自宅と醸造所がある昔ながらの「農家シャトー」。
しかし、造り手の実直な人柄と妥協のないワイン造り、そしてその品質の高さは、私たちのボルドーに対する印象を大きく変えました。

「あなたたちが来るのを待っていた」
ネゴシアンには売らない信念
ネゴシアンには売らない信念
当時の当主ジャン・ノエル・エルヴェ氏は、ボルドーでは一般的なネゴシアンを介した取引を行わない、異色の造り手でした。
ワインが投機の対象となり、価格だけが上がっていくことを望まず、「実際に飲んでくれるお客様に届けたい」という考えを貫いていたのです。
私たちが初めてシャトーを訪ね、お客様の声を大切にしながらワインを届けていることを話すと、エルヴェ氏は「あなたたちのような人が来るのを待っていた」と言い、自宅の奥のセラーへ案内してくれました。
そこに眠っていたのは、どこにも販売せず、大切に熟成させてきた年代物のワイン。単なる仕入れ先と買い手の出会いではありません。
「誰に飲んでもらうか」まで大切にする造り手と、「誰のために買い付けるか」を大切にするヴィノス。
両者の想いが重なったことから、ムーラン・オーラロックとの蔵直は始まりました。

発酵の音を聞きながら眠る
「ワインクレージー」
「ワインクレージー」
エルヴェ氏は、周囲から「ワインクレージー」と呼ばれるほど、ワイン造りに妥協のない職人でした。
ぶどうの完熟を自分の舌で確かめ、納得できるまで収穫しない。
醸造ではワインに余計な負担をかけないようポンプを極力使わず、発酵期にはなんと寝袋を醸造所へ持ち込み、発酵する音を聞きながら状態を見守ったといいます。
さらに樽の品質にも妥協しません。醸造所から熟成庫まで徹底して清潔に保ち、ワインに余計な風味を与えないよう細心の注意を払う。
そこにあるのは、華やかな設備でも、流行を追ったワイン造りでもありません。
畑を見つめ、ぶどうを育て、選び、醸し、熟成させる。実直な人柄そのままの、愚直なまでのワイン造りこそが、ムーラン・オーラロックの品質を支えています。

1890年のワインが伝える
本当の「熟成力」
本当の「熟成力」
ムーラン・オーラロックを語るうえで欠かせないのが、驚くほどの熟成力です。
エルヴェ家のルーツは400年以上前までさかのぼり、長くこの土地と向き合ってきました。所有する畑には樹齢100年を超えるマルベックも残され、わずかなブレンドながら、この蔵ならではの味わいを形づくっています。
そして、シャトーに残るムーラン・オーラロックのラベルが付いた最も古いボトルは、なんと1890年ヴィンテージ。
蔵元によれば、100年という歳月を経ても素晴らしい味わいを保つワインがあるといいます。
今飲んで美味しいだけではなく、時を重ねることでさらに真価を見せる。100年以上前のワインが今なおその歴史を物語っていることは、長年変わらずこの土地とぶどうに向き合ってきたエルヴェ家のワイン造り、その確かな品質を何より雄弁に伝えてくれます。

高い評価を得ても、変えなかったこと
その品質は、やがて世界でも注目されるようになります。
ワイン誌で、ペトリュスやオーゾンヌと同等の評価を獲得したこともありました。
それでもエルヴェ氏は、高い評価を宣伝材料にして価格を上げることを望みませんでした。
評価が上がれば、これまで飲んでくれていた人の手に届きにくくなってしまう。
エルヴェ氏が大切にしてきたのは、有名になって高く売ることではなく、自分のワインを理解し、本当に飲んでくれる人へ届けることでした。
だからこそヴィノスやまざきにも、大切にセラーで熟成させてきたバックヴィンテージを特別に譲ってくれました。
ボルドーで一度は失いかけた「造り手から直接、お客様へ届ける」という可能性。それをもう一度信じさせてくれたのが、このシャトーだったのです。

親から子へ。世代を越えて続く交流
出会いから30年以上。ムーラン・オーラロックとヴィノスやまざきの交流は、単なる造り手と買い手という関係を越え、長い年月をかけて育まれてきました。
そして現在は、息子のトーマ氏がその職人気質とワイン造りを受け継いでいます。
妥協することなく畑やぶどうと向き合い、「高く売れるワイン」ではなく、「大切なお客様に飲んでもらうワイン」を造る。そんなエルヴェ家の変わらない姿勢とともに、ヴィノスやまざきとの関係も世代を越えて受け継がれています。
時代が変わり、造り手が親から子へとバトンを渡しても、ワインに込める想いは変わらない。
だからこそ私たちも、この蔵元のワインを長年にわたってお客様へ届け続けてきました。
ムーラン・オーラロックは、ヴィノスにとって単なる仕入れ先ではなく、長い年月をともに歩んできた大切なパートナーなのです。

畑、選果、熟成、全てにこだわり抜いた職人のボルドーワイン!