まだまだ残暑厳しいですが、暦は「秋」、厳寒期に仕込まれたお酒は蔵の中で夏を越え、この時期味わいの乗った「秋上がり」「ひやおろし」が出荷されます。今期も美味しい旬の味わいがお楽しみいただけますでの是非、お試しください。
今月の「地酒倶楽部 蔵」は、熊本県から初登場:河津酒造の「花雪」地元流通でほとんど無くなってしまう地元の人気銘酒。地場産品:あか牛のしぐれ煮をご案内いたします。新しい発見をお楽しみください。
[熊本]花雪 純米吟醸 720ml
[おつまみ]阿蘇 あか牛のしぐれ煮 120g
ストーリー
【河津酒造】
酒づくりの文化を継承する蔵として、百年、二百年後につないでいく。
河津酒造株式会社は、
昭和7年(1932年)に初代河津泰雄が熊本県阿蘇郡小国町の酒蔵を、
事業承継の形で譲り受けてはじまりました。
高度経済成長、バブル期までのピーク時の造りに比較すると、現在の生産量は約10分の1になりました。
高度情報化社会の今、手軽に全国の酒蔵の商品を手に入れることができるようになり、「日本酒づくりとはなにか」と、見直す時期となりました。
河津酒造は、酒造りを〝価値ある技術〟ととらえ、古来から日本に伝わるすばらしい文化を継承することにこそ、酒造りを担う蔵としての役割と責任があるのではないかと考えました。
もちろん、技術を継承するために、現代に見合った造り方や数値化による安定した製造技術、効率化を模索していくこともとても大切です。
これから、百年、二百年後、この文化を継承していくために河津酒造は〝効率を生み出す非効率〟、つまり、職人の手で造りあげる究極の美しい日本酒造りをめざしていきたいと考えています。
ひとつの原料を磨きあげることで、原料のポテンシャルを最大限に引き出す。
日本酒の原料は、水と米、そして麹と酵母。とてもシンプルな原料で構成されているものです。
だからこそ、使用するひとつひとつの原料に対して吟味に吟味を重ね、技術のすべてをそそぎ込み、磨きあげます。
徹底的な原料処理をすることで、その原料がもっている旨味や風味など、ポテンシャルを
最大限に引き出していく考え方が酒造りの現場に求められます
水
熊本県は、上水道の98%以上、つまり生活に使われる水はほとんど地下水が利用されています。日本全国でも珍しい特別な土地です。河津酒造が使っている水は、筑後川源流の清冽な天然湧水。
仕込み水、米を洗う水の他にも、醸造機器の洗浄や、飲み水まですべて天然の湧水を使っています。
年間通して水温12度前後で安定しており、毎年酒造りの前には機関に成分分析を出し、間違いのない水を使用することを心がけています。
まさに、阿蘇という豊かな大地が磨き上げた水を蔵は酒造りに使わせていただいているのです。

米
めざす酒造りに合った米はなにか、どれだけ磨きあげ、その米の旨味を最大限に引き出すことができるのか。
酒づくりに不可欠な要素として、米の見極めと米に合った精米があげられます。
河津酒造で使用している米は、全量国産です。
産地、生産者が明確なものを選び、米の生産者が見える酒造りをめざしています。
平成20年(2008年)からは、地元契約農家といっしょに新潟県で開発された種籾をお借りし、「一本〆(いっぽんじめ)」という酒米の生産を行っています。
米の特性が出るように全量かけ干しでつくるなど、美しい、おいしい酒づくりのために適した米づくりにも取り組んでいます。
麹
酒造りは、麹と酵母の力を借りて行われます。
麹が米のデンプンから糖をつくり、その糖を酵母が食べることで酒ができ、香りや複雑な味わいをつくりだします。
生きものである麹や酵母が働きやすい環境を整え、外気温、温度、発酵速度、タイミングコントロールすることが杜氏の大きな役割です。
河津酒造では、熊本県が誇る「熊本酵母」を使っています。
この酵母の価値を最大限に引き出すために、ブレンド技術開発にも取り組みまだ見ぬ「熊本酵母」の可能性を模索しています。
一年に一度だけの“造り”で磨きあげる時代に合った手造りの技術。
酒造りの技術は、一年に一度だけの〝造り〟によって養われていくもの。
一年に一度の勝負に挑むため、酒造りに必要な知識、情報、研究・学術は、つねに最新のものを取り入れていくことで、伝統の酒造りの技術を時代に合ったものに昇華させ、継承することにつながると考えています。
もちろん、時代に合わせた変化とともに、変わらないことも大切です。
美しい、おいしい酒造りをめざすために、非効率であっても過去の技術が良い方法であれば、それを守り抜くこともあります。
私たちが、完全手造り、槽(ふね)袋しぼりを採用しているのは、そういう理由があるからです。
商品詳細

日本酒:【花雪 純米吟醸】
九州産の山田錦を使用した、甘く優しい味わいと、それをまとめるキレのあるお酒。
甘く、濃く、旨味の強い味わいは、食事ととても良く合い、淡麗辛口がおいしいという概念を覆すほどです。
産地:熊本県
蔵元:河津酒蔵
使用米:山田錦 アルコール度数:16度 日本酒度:-20 酸度:1.8
