ボジョレーヌーヴォーが嫌いだった社長がボジョレーヌーヴォーの樽を造った理由(わけ)

 

ボジョレーヌーヴォーが嫌いだった?

1994年に銀行に飛び込んでまで、ワインの直輸入を始めたのは 「本当に美味しいワインを、手頃な価格でお届けしたい」からでした。 が、「解禁日に旬のワインを楽しんでほしい」ボジョレーヌーヴォーは どれを飲んでも、何となく薄くて、心から美味しいと思えるものはありませんでした。

これなら!という造り手との出逢い

でも、ボジョレーヌーヴォーこそ、始めてワインを飲む人が出会うワイン。 「ワインって美味しい」と、思って頂けるために、美味しい生産者をボジョレー中探し回りました。 そんな時に出会ったのは、ヌーヴォーを造っていなかった、ボジョレーの生産者ギヨさん。 ボジョレーの中でもワンランクもツーランクも上の、モルゴン村で、高齢(樹齢)の樹から 素晴らしい長熟のワインを造っていたのです。 「貴方にヌーヴォーを造ってほしい。」と、何度もお願いし、本来は高額な長熟のワインになる 葡萄を使って、ヌーヴォーを造ってもらったのです。

最初はクレームも…

初めて輸入したギヨさんのヌーヴォーは、ヌーヴォーらしからぬ?濃くて渋みが強くて、 「これはヌーヴォーではない!!強すぎる」というクレームまで。 しかし、多くのプロのソムリエの方々が、「凄い。これはヌーヴォーの域を超えている。」と プロの方々に話題になったのです。 翌年は、一般の方にも楽しんで頂けるよう「このヌーヴォーは、抜栓してから時間をおくか デキャンタ(他の瓶に移す高級ワインの飲み方)してから召し上がって下さい。」と、注意書きの 首掛けまでかけて販売しました。

一緒に造り上げるために毎年渡仏

しかし、何とかデキャンタしなくても美味しいワインを造るため、何年も年に二回、ボジョレーに通い続けました。 より、飲みやすく美味しくするために 「収穫をより遅くし、完熟した甘いぶどうを使うこと。」 「ゆっくりと醸しをして、柔らかな味わいにすること。」 この2点を実現するために、何年もボジョレーに通いました。そして出来上がったヌーヴォーは、濃いのに柔らかく、素晴らしく美味しいヌーヴォーになったのです。 この造りを実現する為には、リスクもありました。
まず、すべてがモルゴン村の他の生産者より遅い(収穫も、醸しも)ので、解禁日に間に合わない というリスク。 そして、ボジョレーヌーヴォーコンテストなどにはエントリーも出来ない。 が、ギヨさんも私達も「お客様が喜んでくれれば賞なんか関係ない。遅れたら謝ろう。」と、 腹をくくったのです。 そして嘘の樽でなく、本物の樽が誕生…!

ある時、お客様からパーティで使うからと樽のボジョレーヌーヴォーの問い合わせを頂きました。 一般的に多くの樽ヌーヴォーは、ビニールパックに入ったディスプレイの樽で販売されていると いわれていますが、「こんな、嘘の樽ヌーヴォーは売れない」と、思いました。 そもそも一般のボジョレーヌーヴォーは樽で熟成は出来ないのです(ある程度の濃さがないと、樽熟成できない。なので、樽熟成のワインは高いのですね)。
でも、ギヨさんのヌーヴォーなら、本物の樽に入れて熟成できるのではないか…

ギヨさんに相談すると
「では、本物の熟成樽を特注で作ってもらおう。」と、樽職人さんにお願いすることになりました。
一般のメーカーでは扱わない5Lの樽を一つ一つ樽職人に作らせ、そこにギヨさんのヌーヴォーを 入れて運ぶ…
到着する頃には、少し角が取れ、柔らかな味わいになっているのです。
さらに、解禁日、クリスマス…置いておくと 熟成してどんどん味わいに変化が出て来ます。
そんな、常識ではあり得ない樽熟ヌーヴォーこそが、一年に一度8月の2週間だけご予約を承り、 運の良い方だけが楽しめる、
樽熟ヌーヴォーなのです。

今年こそ飲んで頂きたい 2022は、素晴らしい葡萄が出来ています。
が、ワインの値上げや国際物流費の値上げで、ボジョレーヌーヴォーがかつてない高値となり、
輸入を断念されたインポーターさんも多くあります。 また安くするために、収穫を早めて船で持っていくというような
薄いヌーヴォーが出回れば、またお客様の心がボジョレーから離れてしまう…
ギヨさんとヴィノスやまざきは、協議に協議を重ね、「痛み分け」の価格を実現しました。
この品質のボジョレーヌーヴォーを今年、この価格でお届けできるのは、 ギヨさんとヴィノスやまざきの心意気です。
是非、皆様で美味しい「本物の」旬の味をお楽しみください。

買い付け隊長
種本 祐子

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