職人のこだわりが詰まった、今が旬の「夏の生酒」

こんにちは。コレド室町店、店長の矢尾です。
本日は日本酒担当の私から、ヴィノスやまざきの原点である「日本酒」の中でも、この夏の季節ならではの一本をご紹介いたします。

それがこちらの、夏の生酒「國香 純米吟醸 生酒 傳一郎 720ml」。
夏らしい爽やかな水色のボトルで、フルーツを思わせる芳醇な香りと、繊細な口当たりが特徴です。

夏の生酒?お酒にも季節はあるの?と思われた方がいらっしゃるかもしれません。
実は、日本酒には意外にも「旬の楽しみ方」があるのです。

まずは飲み方。
暑い夏には冷酒でキリっと、寒さが厳しい冬には熱燗でふくよかに・・・
同じ日本酒でも、温度を変えることで、全く違った味わいが楽しめます。

そして、さらに奥深いのが、季節による味わいの変化です。

日本酒は多くの酒蔵で、秋に収穫した新米で冬から春先にかけて造られます。
現代の技術では、環境を人工的に整えることで一年中醸造することも可能ではありますが、それでもやはり日本酒は「冬の寒い時期に仕込むのが、一番美味しい」とされており、多くの酒蔵がそのようにしてお酒を仕込んでいます。

冬から春先にかけて搾ったフレッシュな新酒を「しぼりたて」。
それを低温で熟成し、夏場に出荷されるものを「夏の生酒」。
そして、お酒の味を安定させるために火入れ(加熱処理)を行って保存し、秋に出荷するものを「ひやおろし」と、それぞれ呼んでいます。

このように「日本酒の旬」は、冬に造られたお酒が一年を通して徐々に熟成し、変化していく過程から成り立っています。日本酒は、熟成の速度もワインに比べて速いため、一年の中で季節が巡るだけでも、味わいの変化を楽しむことができるお酒です。

そして、今まさに旬のお酒が「夏の生酒」なのです。

そもそも、ヴィノスやまざきと言えば「ワインショップ」としてのイメージが強い方も多いかと思いますが、その原点は107年前に静岡の地で創業した「山崎酒店」という小さな地酒専門店でした。

当時は、日本酒と言えば灘を中心とした大手酒造メーカーが市場を占めていました。
まだ「地酒」という言葉もなかったそんな時代に、先代は全国の酒蔵を回り、時には泊まり込みで仕込みに参加しながら、素晴らしいお酒を造り出す酒蔵から直接日本酒を買い付けてきました。

その後、お客様の「静岡に美味しい日本酒はないの?」という声をきっかけに、地元静岡の酒蔵巡りが始まり、その中で数々の素晴らしい吟醸酒に出会ったのです。この日本酒を皆様に知ってもらおうと、長年に渡り、蔵元達と二人三脚で静岡地酒の普及に尽力してきました。

このような活動が実を結び、今では静岡県は、全国の日本酒ファンから「吟醸王国」と呼ばれるまでになったのです。

そして、創業から107年経った今でも、静岡市にある本店では、日本酒の珍しい銘柄を求めに全国からお客様が絶えません。

本日ご紹介した夏の生酒を醸す「國香酒造」は、まさしく静岡型吟醸の代表格。
静岡県袋井市にあり、創業200年になる歴史ある蔵元です。

蔵の7代目にあたる松尾晃一氏は、自らが杜氏(とうじ=日本酒の醸造において、酒蔵の最高責任者)を務めています。
実は松尾氏は、静岡地酒の発展に多大なる貢献をした「静岡酵母」の生みの親・河村伝兵衛氏の一番弟子。フレッシュ&フルーティな香りで、雑味の無いきれいな日本酒を造るのに欠かせない「静岡酵母」のみで醸す静岡型吟醸の伝統を、頑なに守り続けてきました。

すっきりとキレのある味わいで、多くの日本酒ファンから支持されていますが、製造石数は極めて少量で、静岡県外にはほとんど流通していません。

松尾氏のお話を伺うと、とにかく静岡型吟醸への強いこだわりと、酒造りに関して一切の妥協が無いことを改めて感じました。

静岡吟醸らしい「口に含むと芳醇な香りが広がり、爽やかな酸味のある味の、飲み飽きしない綺麗な酒」。
この味わいを目指して、仕込み期間は不眠不休でほとんどの工程をたった一人でこなし、まさに身を削る努力で酒を造り上げます。小さな蔵の中で、ただひたすらに酒と対峙し続けるのです。

そんな職人・松尾杜氏が醸す、夏の生酒「國香 純米吟醸 生酒 傳一郎 720ml」が、只今店頭に限定入荷しております。

傳一郎」の名は、師匠である河村伝兵衛先生から直々に名付けられ、河村流酒造りの後継者であり一番弟子、という意味が込められています。
この名を冠したラベルは、なんと河村先生の自筆なのだそうです。

原酒ではなく、アルコール度数が15~16度になるよう加水しているため、夏にぴったりの軽快な口当たりながら、数カ月熟成したことにより程良く落ち着き、深みを感じます。
そしてなにより、國香らしい芯のある酸が特徴的です。

開栓したてはキレのある辛口ですが、少しずつ温度が上がるにつれ、お米の旨味や甘味がどんどん広がっていきます。時間の経過や温度によって味わいが変化してくるので、是非お食事と一緒に、ゆっくりと時間をかけてお楽しみください。

静岡吟醸を極めた銘杜氏が醸す、一年で今しか楽しむことのできない夏の生酒。
こちらの日本酒が入った、「静岡の地酒3本セット」もご用意しております。

(左から)國香 傳一郎 生 / 初亀 特別純米 ほまれふじ / 磯自慢 駿光の雫 選抜本醸造


是非ご賞味ください!



矢尾