元醸造士・寺田ソムリエの愛飲するシャルドネはこれだ!

日本ソムリエ協会が毎年行っている、ワイン資格の登竜門「ソムリエ」と「ワインエキスパート」。
まもなく10月に行われる二次試験では、銘柄を隠して試飲し、ぶどう品種や産地を推理する「ブラインド・テイスティング」形式で行われます。
試験を間近に控えたヴィノススタッフも、今まさに勉強中です!

「ワインエキスパート」の二次試験を受ける予定の新入社員より、先日こんな声がありました。

「白ワイン用のぶどう品種で、まず覚えないといけないのがシャルドネだと思うのですが、産地や造り方によって味わいが大きく違うので、一番難しく感じます・・・」

たしかに・・・
色々なシャルドネの白ワインを召し上がるうちに、「同じ品種なのに、こんなに違うの!?」と思った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

シャルドネは、他の白ぶどう品種に比べて、あまりクセが強くないのが特徴。
白ワインのぶどう品種の中でも、特に高い人気を誇り、世界中で栽培されているのですが、産地や気候によってその味わいは大きく左右されます。

たとえば「シャブリ」に代表される冷涼なフランスのブルゴーニュ地方では、キリっと引き締まった酸味を感じる上品な味わいに。一方で温暖なカリフォルニアなどでは、トロピカルフルーツのようなたっぷりの果実味にあふれ、ボリューム感のある味わいになるのです。

私自身も、フランスのブルゴーニュ地方で醸造をしていたため、ブルゴーニュのシャルドネを飲む機会が多かったのですが、帰国後ヴィノスやまざきに入社してから飲んだカリフォルニアのシャルドネの圧倒的なボリューム感に、「これは・・・果実の凝縮感がすごい!」と衝撃を受けた経験があります。

そこで本日は、今月特に人気を集めているシャルドネの中から、私のイチオシを3本ご紹介させていただきます。


第三位 ドメーヌ・ジボー ヴィジョン・オール シャルドネ

以前こちらのブログでもご紹介させていただいた、こちらのシャルドネ。(詳しくはこちらから>>)
社内勉強会で、世界各国のシャルドネをブラインド・テイスティングした際に、世界のシャルドネの有名産地のワインを抑えて第一位に選ばれたのが、こちらの一本です。
ブログでご紹介して以来、「気になってしまって、手に取りました!」という声を多くいただくなど、話題となりました。

実は、こちらのワインを造る「ドメーヌ・ジボー」は、フランス・ロワール地方の、ソーヴィニョン・ブランというぶどう品種のスペシャリスト。本当に美味しいソーヴィニヨン・ブランを求めて、フランス中を探し回り、ようやく出会った蔵元で、彼らのソーヴィニヨン・ブランは、果実味たっぷりで大ヒットしました。

そんな彼らが、少量のみ造るシャルドネも、収穫時期をじっくり待った完熟ぶどうから造られ、「オール(=黄金)」の名の通りの輝く黄色に、白桃のようなたっぷりの果実味にあふれた一本です。
樽熟成をしていないにも関わらず、厚みのある味わいに仕上がっていて、丁寧な畑仕事が生んだこの味わいには脱帽です。


第二位 マホニー ギャヴィン・ヴィンヤード シャルドネ

トロピカルな果実の厚みと、樽の香りに、長い余韻・・・飲み応えがある味わいで、涼しくなってきた秋の季節にぴったりのこの一本は、私がその美味しさに衝撃を受けた、カリフォルニアの造り手「マホニー・ヴィンヤーズ」のシャルドネです。(私とマホニーの出会いはこちらから>>)

「マホニー」は、カリフォルニア屈指の高級ワイン産地ナパ・ヴァレーの中でも冷涼で、シャルドネの栽培に最適なカーネロス地区にあります。
カーネロス地区のパイオニア的な存在で、黒ぶどうのピノ・ノワールをもっとも得意としていますが、実はもっともよい区画でシャルドネも少量だけ栽培していて、そのぶどうから造られるのが、こちらのシャルドネなのです。


第一位 プティプロ・シャルドネ樽熟成

ヴィノスのシャルドネといえば、この一本は絶対に外せません。
当店の直輸入第一号白ワインであり、輸入開始以来25年以上、多くのお客様にご支持いただいてきました。

南フランス・ラングドック地方のワインなのですが、初めて飲んだときは、その完成度の高さに、ブルゴーニュのワインかと思ったほどです。
たっぷりの果実味に、樽の香りが口いっぱいにフワっと広がり、余韻も長い・・・
この味わいが1000円台で手に入るのは、本当になかなかないと思います。

それもそのはず。
実はもともとフランスのブルゴーニュ地方でワイン造りをしていた前当主のピケさんが、「手頃で、ブルゴーニュクラスの美味しいワインを造りたい・・・」とフランス中を巡り、たどり着いたラングドック地方のミネルヴォワ村で造り始めたのが、こちらのワインなのです。

現在では、娘のアニックさんが引き継ぎ、丁寧にぶどう栽培からワイン造りを行っています。

いかがでしたでしょうか?
少し涼しくなってきたこの季節には、本日ご紹介した飲み応えあるシャルドネのような、厚みのあるワインが飲みたくなります。
奥深いシャルドネの世界を、ぜひお楽しみください。

ソムリエ 寺田

【プロフィール紹介】
フランスの国立醸造学校を卒業後、ブルゴーニュ地方の超有名ドメーヌでワインの醸造経験を積む。帰国後は、生産者の想いをお客様に届け、日本でもワインをもっと気軽に楽しんで欲しいと、ヴィノスやまざきに入社。豊富な知識を活かし、買付から社員教育まで、幅広い業務を担当中。ピノ・ノワールの試飲力は、ブルゴーニュのプロからも高い評価をされている。