「自然派ワイン」という言葉が業界では時々言われるが、お店に立ってみると、案外評判は良くない・・・
「自然派ワインって書いてあると、買わないようにしているんだ・・・美味しくないから。」
「自然派ではないワインをください。」
と言われた時には、驚いた。
実は、ヴィノスやまざきの蔵直ワインの中にも、有機の認証を取っているワインなど、自然に造っているワインがほとんどなのに、それをあまりアピールしないのは・・・
「まずいワインと思われたくないから」と、蔵元もよく言います。
それは、買い付ける人達が、まず認証や造り方からワインを選んでいて、味は二の次になっているから。
しかし、まず一番大切なのは、美味しい!という一次的価値。
そこがぶれたら、どんなに認証を取っても、賞を取っても、お客様は選んでくださらない・・・
そんな中で、フランスのボルドー地方に、認証も取っているけれど、そんなことは関係ない、美味しいから売れている・・・そんなロングセラーワインがあります。
しかも、お値段が信じられないくらいお手頃なので、まずは価格から入り、味に驚き、リピートされる方も多いワインが、こちらです。
シャトー・レ・グラーヴ白
ボルドーのコート・ド・ブライというところにある、小さな小さな蔵元です。
こちらと出会ったのは、フランスに行った時に見つけた「ゴー・ミヨ」という雑誌。
ボルドーのコートという地区のワインの、飲み比べベストを紹介していました。
まず、もちろん訪問したのは、1位のワイン。
確かに良いワインなので、すぐに仕入れを決めました。
しかし、その後価格が上がり、味わいも変わり・・・輸入を止めました。
そして2位のワインが、シャトー・レ・グラーブ。
1位に比べると、少し大人しい味わいながらも、こちらは白もあって、とにかく美味しい。
そして価格が、驚くほど安い・・・
なんと1000円台!!!
そして、1位の蔵元が、華やかで高級車に乗っていたのと違い、とにかく素朴で質素なご家族。
謙虚で恥ずかしがりや・・・
「こんな僻地まで来てくれてありがとう」と、何度も小さな声でお礼を言われました。
そして、年々品質が上がり、さらに価格は上げない・・・
大変厳しい自然派の認証HVEまで取っているのに、それを全面に出さない・・・
真の自然派ワインを、あえて定義づけるとすると、認証を取っているとか、造りがどうしたとかでなく、ぶどうの自然の美味しさを直に表現し、そして謙虚な気持ちで造り続けること。
私は、そう定義づけたい・・・
その思いで、とにかく味で選び、足で歩いて探したワインが、蔵直第一号の「シャトー・レゾリュー」や、
カリフォルニア、メンドシーノの「トゥルー・ヴァイン」、
そして、修道士たちがお祈りや島を訪れる巡礼者達のために特別に造る「修道士のワイン」・・・
全ての共通点は、美味しい!と、まず味わいに驚いたこと。
そして、話を聞いたところ、実は、自然派だったということ・・・
何より、造り手の心がピュアであること・・・
そんな本物の自然派ワインを、ぜひお試しください。
種本 祐子
【プロフィール】
静岡県生まれ。ヴィノスやまざき取締役社長。シニアソムリエ。
1987年、実家である山崎酒店に入社。先代から受け継いだ「店はお客様のためにある」の思いで、フランスの無名産地より安くて美味しいワインの直輸入を決意。生産者の元を自分たちの足で訪問・交渉し、お届けする「蔵直便」のワインビジネスを始める。直輸入型ワインショップ「ヴィノスやまざき」を全国に24店舗展開する。