~匿名ソムリエの謎解き日誌③~ 高級シャンパーニュの元担当者が衝撃を受けた「安旨シャンパーニュ」の謎

他社の大手インポーターにいた私が、ワイン業界ではありえない「ヴィノスやまざきの謎」を解明するため、ひっそりと始めたこの謎解き日誌。

実は、以前の会社で高級シャンパーニュを担当していたこともあり、スパークリングワインに関してはかなり辛口の私。そんな私が、最近びっくりしたシャンパーニュがある。それが・・・

ヴーヴ・ジャックマール ブリュット

柑橘類の爽やかな香りが心地よく、フレッシュな味わいの後、余韻にクリーミーさも感じられる。
バランスが良く、お食事にも合わせやすいシャンパーニュだ。

何にビックリしたかというと、まずはそのお値段

ぶどうにこだわった質の高いシャンパーニュは通常5,000円を超えることがほとんどで、高級シャンパーニュでは数万円~十数万円するものも珍しくはない。

それなのに、このヴーヴ・ジャックマールは3,500円(税込3,850円)
さらに、今ならなんと2,980円(税込3,278円)

ぶどうからこだわっているのに、この破格のお値段は、業界的にはありえない。
これなら、平日の家飲みでも気軽に楽しめる

そもそもシャンパーニュはなぜ高いのか?
熟成期間が長いから保管にお金がかかり、製造工程が複雑、原料であるぶどうの値段が高い。
そして、なんといってもマーケティングコストは莫大だ。数々のお金持ちや著名人がこぞって求めるシャンパーニュは、もはや「ブランド品」の一種と見られることが多い。

しかしながら、広告や宣伝が派手な有名ブランドシャンパーニュとは対照的に、このワインを造るプロワイエ・ジャックマールは、家族経営の小さな農家の蔵元。3代目のマダム・ローレンスを中心に、ぶどう栽培からこだわりのシャンパーニュを造っている。

広告や宣伝をしないのならば、そんなに注目を浴びないんじゃ・・・と思っていたがそれは大間違い。
彼らのシャンパーニュは、ニューヨークの3つ星レストラン「ジャン・ジョルジュ(Jean Georges)」をはじめとするミシュラン星付きレストランからもオーダーが入るという。一体なぜ・・・?

それは、価格が手頃というだけではなく、とにかく美味しいのだ。

このシャンパーニュには、特級畑のピノ・ノワールと一級畑のピノ・ムニエを使用している。
さらに、完熟した黒ぶどうを使っているので、ベリー系果実をかじった時のパリッと感、そしてふくよかな味わいがたまらない。

その味わいは、プロからもお墨付きだ。
彼らの造る旗艦ワインプロワイエ・ジャックマール エクストラ・クオリティ ブリュットは、世界的な著名ワイン誌『ワインスペクテーター』にて、2020年の世界TOP100ワインにも選出された。

全世界のワインの中から、シャンパーニュで世界TOP100に選ばれたのは、名門メゾン・ボランジェとプロワイエ・ジャックマールのわずか2本のみ。これほど小さな蔵元のシャンパーニュが選ばれたのは、まさに快挙だ。

世界でも高く評価される蔵元を、他のインポーターに先駆けて探し出し、日本への輸入を実現したヴィノスやまざき。やりましたね!と先輩に言うと・・・

「嬉しいね!でも、評価が高いから仕入れる、という訳でははないんだけどね。
ヴィノスのお客様が求める味わいかどうか、それが全てなんだ。
その結果、今回のように、仕入れたワインが高い評価を獲得する、ということがあるんだよ。」


自分もこういった隠れた銘品を見つける目利きになりたい・・・と思いながら、今日はここまで。

ヴィノスやまざきの謎解きソムリエ
すみません、今回も匿名でお願いいたします。