英語ができない私が、アメリカのワイン資格に挑戦した理由

私事で恐縮ですが、先日、米国ワインスペシャリストの資格、CSW(Certified Specialist of Wine)を取得しました。これは、米国ワイン教育者協会認定の資格で、世界で通用するワイン資格の一つです。

部下からは「え?まさか、英語ができない福井さんが?エイプリルフールじゃなくて?」と言われてしまったのですが、そうなんです・・・

入社当時は全く英語が話せず、海外買付に行くたびに、生産者とコミュニケーションが取れず、悔しい思いをしてきました。そこで、ゼロから勉強を始め、少しずつ生産者とも会話ができるようになり、苦手意識が薄れていくようになりました。

そして、ただ英語でのコミュニケーション力を磨くだけでなく、ワインの専門性をさらに高めて、もっとお客様に魅力的な商品をお届けしたい・・・と思ったことが、CSW資格の勉強を始めたきっかけです。

当然テキストはすべて英語なので、何度も諦めそうになりましたが、約半年間かけてコツコツと勉強を続け、なんとか合格することができました。このチャレンジ精神は、静岡の小さな酒屋でワインビジネスを始めた現社長はじめ、ヴィノスやまざきのDNAかもしれません。

その私が、初めて通訳無しで、自ら買付に行ったワイン。
それが、ウルグアイで「タナ」というぶどうから造られる、このワインでした。

ガルソン・タナ・レセルバ

このワインを一言でいうと、とにかく濃い。
グラスに注ぐと、向こう側が全く見えないくらいです。

一口飲むと、パワフルなボディと、豊かな果実味に圧倒されます。
でも、渋みはなめらかに溶け込んでいて、濃いのに上品ささえ感じる・・・

しかし、ウルグアイのワインは、日本ではほとんど見たことがない、まさに未開拓の地。
このワインに出会った当初は、調べようにも、ソムリエ協会の教本にも載っていませんでした。

味わいは確かに美味しいけれども、お客様に手に取っていただけるだろうか?

そんな不安もありましたが、ヴィノスやまざきは1994年、当時は無名だった南仏のラングドック地方のワインの直輸入を始めて以来、産地やブランドにこだわらず、お客様に本当に納得していただける味わいのワインをお届けしてきました。

有名産地や有名ブランドのワインではなく、無名の産地や無名の蔵元にこそ、手頃で本当に美味しいワインがある・・・

そこで、たとえ地球の裏側であっても、足を運んで、自分の目で確かめることにしたのです。

こうして、ついにたどり着いたウルグアイの地・・・

このワインを造るボデガ・ガルソンは、2008年にオーナーのアレハンドロ・ブルゲローニ氏によって設立。

当時、ウルグアイワインの生産量の90%以上は別の地域で生産されていましたが、アレハンドロ氏は今のワイナリーがあるガルソン地区(蔵元名でありながら、地区の名前でもあります)に注目し、未開拓の地を開墾して、畑を造り、ぶどうを植えました。

当時、地元の人々からは、「その場所でぶどうを栽培するのは難しい、成功するはずがない」と言われていたそうです。しかし、ぶどうの栽培を始めると、大西洋からの海風と独特な土壌により、素晴らしいぶどうが育ちました。

それから、世界的なワイン評価誌で、有名産地の高級ワインにも肩を並べ「世界TOP100ワイン」に選出。さらに「ニューワールド・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」や、「世界TOP100ワイナリー2020」にも選ばれるなど、その勢いは留まるところを知りません。

今では、ソムリエ協会の教本にも「ボデガ・ガルソン」の名前が載るほど、ウルグアイを代表するワイナリーとなったのです。

「産地にこだわらず、本当に良いワインを造りたい」というアレハンドロ氏の開拓者精神が、現在の高い評価に繋がりました。それは、ヴィノスやまざきが「産地やブランドにこだわらず、本当に納得できる味わいのワインをお届けしたい」という想いにも重なり、今では同じ想いを共有するパートナーとなったのです。

ガルソンとヴィノスやまざき・・・開拓者たちの熱い想いが詰まった「ガルソン・タナ・レセルバ」。 ぜひ、お楽しみください。

ところで、今日4月14日は「タナの日」。
ウルグアイに初めて「タナ」を持ち込んだバスク移民のパスカル・アリアゲ氏の命日で、制定されたとのこと。

<参考>”Tannat Day: Celebrating Uruguay’s champion grape”, https://www.uruguay.wine/journal/tannatday

まさに、ウルグアイワインのパイオニアです。
これからも、もっと日本でウルグアイワインの魅力を伝えていきたいと思います。

福井

【プロフィール紹介】
静岡県出身。米国ワインエデュケーター協会認定CSWワインスペシャリスト、JSAソムリエ、きき酒師。
ヴィノスやまざきの新卒第1期生として入社。先代・山崎巽の最後の教え子として、商人魂と日本酒の知識を学ぶ。 有楽町店店長、店舗スーパーバイザーを歴任した後、上海店の立ち上げにも携わる。
情熱は人一倍で、美味しいワインがあると聞けば、欧州やアメリカの山奥だけでなく、 南米や南アフリカなど地球の裏側まで足を運ぶ、その情熱とフットワークの軽さはヴィノスでNo.1。
最近、苦手な英語の克服とワインの専門性をさらに高めたいと始めた米国ワインエデュケーター協会認定のCSW(Certified Specialist of Wine)の資格を取得し、今後の商品政策に活かしていきたいと意気込んでいる。