~匿名ソムリエの謎解き日誌⑤~ 良いワイン=有名産地、は間違いだった!?【後編】

他社の大手インポーターにいた私が、ワイン業界ではありえない「ヴィノスやまざきの謎」を解明するため、ひっそりと始めたこの謎解き日誌。

前回は、なぜ無名産地ラングドックのワインを、ヴィノスは主役として輸入しているのかを紐解いた。



フランスへのワイン留学も経験し、フランスワインには詳しい方だが、ヴィノスのラングドックワインには驚かされることばかりだ。中でも、私の度肝を抜いた蔵元がある。それが・・・

ドメーヌ・ド・グールガゾー(別名プティ・プロ)

初めて彼らのシャルドネの白ワインを目隠しで飲んだ時の感想は、こうだった。

「これは・・・ブルゴーニュのワイン?たっぷりの果実味に、樽の香りもしっかり感じて、酸味とのバランスもいい。完成度が高いな。」

前職でブルゴーニュの有名生産者のワインも取り扱っていたので、きっと5000円くらいするものだろう。そう思っていたところ・・・またしても、ラングドックのワイン。

しかも今度は1000円台!?ありえない・・・!!
今日はその謎を、解き明かそう。


1.果実味×ミネラル×酸味・・・その味わいは、まるでブルゴーニュ!?

蔵直便第一号「シャトー・レゾリュー」の次にヴィノスが追い求めたのは、旨得白ワイン。

当時、シャルドネで造られたワインは、フランス銘醸産地ブルゴーニュ産の高いものばかり。
でも、ブルゴーニュワインの果実味、ミネラル感、酸味・・・あのバランスの取れた味わいのワインを、しかも1000円台で見つけ出すのは不可能・・・。

そんな時に出会ったのが、「ドメーヌ・ド・グールガゾー」

創業者のピケさんは、もともとブルゴーニュでワインを造っていたらしい。
だから、あの味わいが造れるのか・・・。

それだけではない。
ブルゴーニュでワインを造るとどうしても高くなる。もっと手頃な価格でワインを造り、多くの人に楽しんでもらうには、どうすれば・・・その想いでたどり着いたのが、ラングドックという土地。

ぶどう栽培に最適な環境を見抜く力、醸造の知識。
それがあれば、匠はどの土地でも美味しいワインを造りだせるのだ。


2.本当は内緒にしたい・・・あなたの知らない旨得ワイン、教えます。

この蔵元のワインは入荷してもすぐに売り切れてしまうので、本当は秘密にしておきたいが・・・
なんと今週(8月10日)、新入荷ワインが到着する。(しかも、これまで以上に手頃な価格で。)

「ドメーヌ・ド・グールガゾー 赤白」

早速、一足先に味わってみた。
まずは白から・・・

フレッシュな果実、華やかで甘い香り・・・口に含むと、意外なことにも果実味と若干のビター感があって、お料理にもぴったり合いそうだ。

一緒に試飲した店長たちのコメントもメモしておこう。

「果実味たっぷりで美味しいですね。夏にぴったり。まさに爽やかな一本。」
「シャルドネとかソーヴィニヨン・ブランはもう飲み飽きたという方にもいいかもしれないですね。」


さて、次に赤も飲んでみよう。

こちらも果実味がぎゅっと詰まった味わいながら、まろやかな口当たり。
渋みも穏やかだし、軽く冷やしても美味しいし、飲みやすい!

「重い赤が飲みたくない時に、いいですね。」
「明るい時間からでも飲みたいかも。夕暮れ時とか最高ですね。」


価格も1,280円(税抜)と手を伸ばしやすいので、これはデイリーに飲みたい・・・。


多くのワイン企業においてフランスワインの主役といえば、ボルドー、ブルゴーニュそしてシャンパーニュ。ワインのプロ目線で見ると、なぜヴィノスでラングドック地方のワインが重要視されているのか、不思議でならなかった。

しかし、「ワインの質=産地ではない」と思い知らされた。
それを分かってくださるお客様がいるから、レゾリューやグールガゾーは、当店人気蔵元の一つとなったのだろう。

有名産地ワインを飲んで「ワイン通」を名乗る人がいたら、もっと面白いワインを試してみてほしい。
そんなワインを探すなら、ヴィノスやまざきしかないだろう。

▲社長と現当主のアニックさん。

そういえば、フランスでふらっと立ち寄った小さな小さな蔵元のワインは、有名じゃなくてもめちゃくちゃ美味しかったなぁ・・・と思い出した。

次に現地に行ける時には、自分も無名産地で無名ワインを掘り出して一躍スターにしたいと思いながら、今日はここまで。

ヴィノスやまざきの謎解きソムリエ
すみません、今回も匿名でお願いいたします。