~匿名ソムリエの謎解き日誌③~ ワイン屋なのに日本酒がなぜ人気?

他社の大手インポーターにいた私が、ワイン業界ではありえない「ヴィノスやまざきの謎」を解明するため、ひっそりと始めたこの謎解き日誌。

私だけでなく、ヴィノスやまざきに初めてご来店する方が、こぞって驚く謎がある。
それが・・・「なぜワイン屋さんなのに、日本酒があるのか?」

酒屋や百貨店のお酒売り場ならともかく、ワインショップでここまで日本酒を置いているお店は、果たして他にあるだろうか。

ヴィノスやまざきの有楽町店を初めて訪問した際、ここはワインショップじゃないの?ずいぶん日本酒が多いな・・・きっと外国人観光客を取り込むため、ワインショップが日本酒の取り扱いを始めたのだろう、と思った。

しかし、この考えはあっさりと裏切られた。
なぜならば・・・

ヴィノスやまざきの原点は、静岡の酒屋であり、日本酒だから。

歴史を詳しく聞いたところ、ヴィノスやまざきの前身は、1913年に静岡で創業した山崎酒店。
先代の山崎巽は、「静岡のうまい酒を、全国の人に飲んでもらいたい」という想いから、県内の蔵元を訪れ、蔵元と二人三脚でその味を全国へ広めていった。

しかし、それだけではない。
ヴィノスやまざきには、なんとオリジナルの日本酒も存在する。

静岡を代表する蔵元「磯自慢」や「初亀」と共に造り上げたオリジナルの日本酒は、銘蔵元のお酒が手頃な価格で楽しめると、今では多くのリピーターの方が手に取る人気商品だ。

さらに驚いたのが、昨年登場したオリジナル日本酒Apero S(アペロ エス)純米吟醸

フランスにワイン留学をしたほどワイン好きの私が、一口飲んで思わずびっくりしたのが、その味わい。

まるでブルゴーニュの白ワインのような、香りの華やかさと上品な酸。キレのある味わいながら、お米の甘みも感じられて、まろやかな味わい・・・これは美味しい!

ワイン派も納得のこの味わいを生む秘密は、フランスのブルゴーニュ地方の中でも、辛口白ワインの銘醸地「シャブリ」の白ワイン酵母を使用しているのだという。

実は、昨年12月に試作品を3000本(試作という割には、思い切っていると驚きましたが)リリースし、あっという間に売り切れて、リピートの声も多く、ついに新酒でまた造っていただくことになったのです。

ワイン屋さんなのに、苦労や試行錯誤を重ねてまで、わざわざオリジナルの日本酒を開発するなんて・・・ 一体どうして・・・?と先輩に聞いたところ、

「『Apero(アペロ)』は、フランス語で『食前酒』の意味。フランスでは夕食前に軽く一杯飲むけど、こうした楽しみ方を日本酒にも取り入れて、もっと気軽に、色んなシーンでお酒を楽しんでもらいたいという気持ちで名付けたんだよ。

お客様の声に応えるのはもちろんのこと、ヴィノスやまざきは常に『新しい』を探している。
お客様の求めるものを、世界中を駆け回って探し出して、納得がいかない時は自分たちで生み出して・・・

これまで誰もできなかった『驚き』や『面白い』をお客様に提供するのも、オリジナル商品を造れるヴィノスならではだよね。」


そうか、ヴィノスやまざきが商品だけでなく、ワクワクドキドキする「体験」もお届けするというのは、こういうことなのかもしれない・・・

アペロSの「S」は、静岡のS。
あの銘酒「獺祭」の誕生も、実は吟醸王国・静岡の酒に学んだと。

静岡の酒を開発するのに30年。
ワインの蔵直輸入に30年。
そして、この「アペロS」は、その両方を掛け合わせたワイン酵母の日本酒・・・

前回の謎解き日誌こちらから)では、オリジナルワインの謎を解いたけど、オリジナルで一から造り上げるには、蔵元との信頼関係と、チャレンジ精神が欠かせない。そんなヴィノスやまざきのDNAは、創業108年の歴史の中で築き上げてきたものなのだろう・・・

長年の歴史がなければ、ヒット商品は生まれないんだ・・・と、また目から鱗が落ちたのでした。

ヴィノスでこれからどんなワクワクドキドキを提供できるのか、私自身も楽しみになってきたが、今日はここまで。

ヴィノスやまざきの謎解きソムリエ
すみません、今回も匿名でお願いいたします。

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