元醸造士が選ぶ「栄光の3日間」に楽しみたい、手頃で美味しいブルゴーニュワイン

本日は、ヴィノス1のブルゴーニュワイン好き・寺田から、蔵直ブルゴーニュワインの魅力をお伝えしたいと思います。

ブルゴーニュは、ボルドーと並ぶフランス2大銘醸地の一つ。
「コート・ドール(=黄金の丘)」と呼ばれる美しい丘陵地帯に、数万~数百万円もするような世界トップクラスのワインを生み出す、銘醸畑が広がっています。

赤ワインは「ピノ・ノワール」、白ワインは「シャルドネ」と、単一のぶどう品種で造られる優美で繊細なワインは、世界中の人を惹き付けてやみません。
私もブルゴーニュワインに魅せられるあまり、ブルゴーニュでワインの醸造に携わっていたほど・・・

そのブルゴーニュの中心地が、ボーヌ。
中心地といっても、人口約2万人の小さな街ですが、この街が1年で一番の賑わいを見せるのが「Les Trois Glorieuse(栄光の3日間)」です。

「栄光の3日間」は、11月の第3土・日・月に行われる、ブルゴーニュ最大のワインのお祭り。
その中でも最高に盛り上がるのが、日曜日に行われる「オスピス・ド・ボーヌ」というワインのオークションです。

ヴィノスやまざきも、出来の良い年に現地まで出向き、全種類を試飲してからオークションに参加しています。 (実は近年では、電話やネットでもオークションに参加可能なため、自分たちでは試飲せずに競り落とす業者も・・・)

ヴィノスやまざきの「オスピス・ド・ボーヌ」はこちらから>>

世界中からバイヤーが参加して競り落とす「オスピス・ド・ボーヌ」のワインは、もちろんどれも素晴らしいのですが、これは特別な時に楽しむ、特別なワイン・・・

自宅で飲むならやっぱり、美味しいブルゴーニュワインを手頃に楽しみたい
そんな方にぜひおすすめしたいのが、こちらの蔵直ブルゴーニュワインです。

赤ワインなら・・・
ブッフェ・ブルゴーニュ・ピノ・ノワール2019

このワインを造るブッフェ家とのお付き合いは、もう20年以上になるでしょうか。
当店でもっともロングセラーの、ブルゴーニュの蔵元です。

村の中心にある教会のすぐ裏にあるということからも、蔵の歴史が長いことが推測できます。
(というのも、昔は集落に人が集まる時は、まず教会が作られ、そしてその近くから発展していくという傾向がありました。)

このため、所有する畑も村の中でも条件の良い畑を所有しており、もっともカジュアルなこちらのワインでも、ワンランク上のプルミエ・クリュ(一級)に近い畑のぶどうを使用しており、品質の高さには毎年感心します。

さらに、長いお付き合いということもあるのですが・・・
いつも驚かされるのが、2,280円税別というその価格。ブルゴーニュワインは世界的に価格が年々高騰する中で、変わらない手頃さで提供し続けてくれています。

ただし、手作業で丁寧に造られる彼らのワインは、非常に生産量が少ないのが難点・・・
一年を通してご案内できないため、店頭で見かけたら、すぐにでも手に取っていただくことをおすすめします。

白ワインなら・・・
パスカル・ボンノム ヴィレクレッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ2018

このワインを造るパスカル・ボンノムは、ブルゴーニュ南部「マコン地区」の造り手。
シャルドネを使った白ワインが有名な産地です。

彼らはその地区の中でも、特に良質なぶどうが収穫出来ると1998年に格上げされた小地区の「ヴィレ・クレッセ」村にあります。 ワインに厳しい規律のあるフランスでは、このように新しいアペラシオン(ワイン産地名)の格上げは容易ではありません・・・

その格上げに一役かった地域の英雄的存在が、パスカルの父「アンドレ・ボンノム」でした。
パスカル氏は、そんな父に負けず、強いこだわりを持ってワイン造りを行っています。

同地区では、9割以上の生産者が機械でぶどうの収穫を行っているといわれる中、パスカル氏は全て手摘みで収穫しています。

彼らの畑は、地区の中でも標高が高いことに加え、立っているのが怖いほどの急斜面・・・
手摘みでの収穫の苦労は、想像に難くありません。

さらに、醸造所でも選果を行い、良いぶどうのみを使用するというこだわりよう。
徹底してぶどうのチェックを行い、傷んでいるぶどうや未熟なぶどうは使用しないそうです。

そんな彼が造るワインの中でも、樹齢約60年の古木のぶどうだけを使用したワインが、「パスカル・ボンノム ヴィレ・クレッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ」。

果実味のボリューム感と、キレのあるミネラル感、そして芳醇な香りがとても印象的で、上品なワイン・・・

これは、ぶどうの樹齢が高いことにより、樹の根が地中深くまで入り込み、様々な地層からの栄養素を取り込むことができるので、複雑味と凝縮感を感じるワインができるのです。

そしてさらに、一部樽熟成を行うことで、酸味の角が取れ、まろやかで奥深い味わいに仕上げています。

今年の「栄光の3日間」は、ぜひ蔵直ブルゴーニュワインをお楽しみください。

ソムリエ 寺田

【プロフィール紹介】
フランスの国立醸造学校を卒業後、ブルゴーニュ地方のドメーヌでワインの醸造経験を積む。 帰国後は、生産者の想いをお客様に届け、日本でもワインをもっと気軽に楽しんで欲しいと、ヴィノスやまざきに入社。 豊富な知識を活かし、買付業務から社員教育まで、幅広い業務を担当する。