日本酒の日に、ヴィノスの歴史が詰まった一本が誕生しました

10月1日は「日本酒の日」。
本日はヴィノスの日本酒アンバサダーである私から、皆さまにどうしてもお伝えしたい一本があり、ブログに書かせていただくことにしました。

その前に・・・

「ワイン専門店なのに日本酒?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれないので、当店の日本酒への取り組みを、改めて少しお話しさせていただきます。

ヴィノスやまざきには日本酒の取り扱い店舗が多くありますが、創業の経緯を知らないと「ワインショップが、日本酒にも手を出した」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、実はヴィノスやまざきの原点は日本酒。
静岡の小さな酒屋としてスタートし、地元・静岡の地酒を自らの足で探して、お客様へお届けしてきました。その根底にあったのは、「お客様が本当に求めるものを提供したい」という想いです。

そして同じ想いで始めたのが、産地やブランドにこだわらず、足で探した「蔵直Rワイン」なのです。

磯自慢」「初亀」「開運」など、豊かな自然と名水に恵まれた静岡には、全国の日本酒ファンを魅了してやまない数々の銘酒があります。

そして「静岡の旨い酒を全国のお客様に知ってもらいたい」という先代の想いを受け継いだ会長、社長、スタッフも何度も蔵元のもとへと足を運び、蔵元たちと共に、オリジナルの日本酒も開発してきました。

たとえば、2008年の洞爺湖サミットや、2016年の伊勢志摩サミットでも各国の首脳に振る舞われるなど、今や日本を代表する蔵元となった「磯自慢」と共同で開発した「駿光の雫」。
「磯自慢の日本酒が、日常的に気軽に楽しめたら・・・」というお客様の声から生まれました。

また、静岡県内で最古の蔵元であり、地元静岡のお米と水にこだわって仕込む、吟醸王国・静岡を代表する老舗蔵元「初亀」と共に造り上げた「粋囲」。
老舗ながらも常に新しいことにも柔軟に挑戦する「初亀」は、全国に静岡地酒の魅力を知ってほしいという思いをヴィノスと共有し、地元静岡の酒米・誉富士を使った粋な日本酒を造ってくれました。

このように、数々のオリジナルの日本酒を生み出してきましたが、これも全て、蔵元との長年の関係があってこそ出来たことです。お客様の声に耳を傾け、それを蔵元に届け、お客様が求める商品を提供することが、私たち酒屋の使命だという思いで取り組んできました。

そして今日、静岡の銘蔵元と共に開発した、新たな当店オリジナルの日本酒が登場します。
それが・・・

巽酒(たつみざけ)山田錦吟醸

数々の静岡地酒を世に送り出し、日本酒の名伯楽と呼ばれたヴィノスやまざきの先代・山崎巽に敬意を表し、その名を冠した特別な酒を造りたい・・・そんな想いから、この「巽酒」は誕生しました。

(右)ヴィノスやまざきの先代・山崎巽

酒米の王様「山田錦」を使い、吟醸王国と呼ばれる静岡県で静岡型吟醸を極めた松尾杜氏が、その技術を駆使して造り上げた1本です。

このお酒を造る「國香酒造」は、静岡県袋井市にある小さな蔵元。
静岡酒らしい華やかさを持ちながら、キレのある力強い味わいの酒を造りだしています。

蔵の7代目にあたる松尾晃一氏は、自らが杜氏(とうじ=日本酒の醸造において、酒蔵の最高責任者)を務めています。さらに、実は松尾氏は、静岡地酒が全国に知られるまでに発展するのに大きく貢献した「静岡酵母」の生みの親・河村傳兵衛氏の一番弟子なのです。

そんな松尾氏は、フレッシュ&フルーティな香りで、雑味の無いきれいな日本酒を造るのに欠かせない「静岡酵母」で醸す静岡型吟醸の伝統を、頑なに守り続けてきました。

実際に松尾氏にお話を伺うと、静岡型吟醸への熱い情熱と、酒造りに関して一切の妥協が無いことを改めて感じます。仕込み期間は不眠不休でほとんどの工程をたった一人でこなし、まさに身を削る努力で酒を造り上げます。小さな蔵の中で、ただひたすらに酒と対峙し続けているのです。

この「巽酒」は、松尾杜氏が目指す「口に含むと芳醇な香りが広がり、爽やかな酸味のある味の、飲み飽きしない綺麗な酒」・・・まさしくそれを体現したこだわりの一本です。

和食を中心に、幅広いお食事とも至高のマリアージュを奏でてくれます。
食の秋に、ぜひ旬の食材と合わせてお楽しみください。


コレド室町店 店長 矢尾