【訪問レポート~初亀醸造~】地元・静岡のこだわり抜いた酒

皆様こんにちは。
静岡本店、店長の戸塚です。

つい先日、コロナ禍の中ではありますが、少しでも新鮮でホットな情報をお伝えしたいと、日本酒の蔵元を訪問することになりました。
今回訪れたのは、当店でも多くのファンを持つ地元・静岡の老舗蔵元「初亀醸造」です。

静岡エリアの店舗で働く若手スタッフを含め、4人のメンバーで訪問しました。
若手スタッフたちは、初めて行く酒蔵にワクワク。
私自身が何度も訪れ目にしてきた「初亀」のこだわりを、後輩たちにもどうしても知って欲しい、と今回の訪問を計画しました。

初亀醸造」の創業は1636年。
静岡県内では最古、全国でも31番目に古いという、歴史のある蔵元です。

創業時の旧屋号は「足名屋」と言いました。
橋本社長曰く、昭和27年に「初亀醸造」の名を登記し、昭和30年代になって「初亀」のラベルで販売し始めたそうです。

現在の屋号である「初亀」の名は、「"初"日の出のように光輝き、"亀"のように末永く栄える」ことを願って命名されました。

橋本社長と専務から、そんな蔵の歴史についてお話を伺いながら、酒造りを行う蔵の中へ。

多くの酒蔵では、秋に収穫した新米を使って、冬から春先にかけて日本酒を造るため、この季節は酒造りを行っていません。実際の仕込みの様子は見られずとも、初めて訪れたメンバーは皆熱心に耳を傾けていました。

日本酒には、大きく分けて「普通酒」と、吟醸酒・本醸造酒・純米酒など特定の名称が付いたお酒「特定名称酒」があります。特定名称酒の中でも「吟醸酒」は、よく磨いたお米を低温で長時間かけてじっくり醸すため、手間と時間がかかります。

その吟醸酒の中で、精米歩合(お米を磨く割合)がもっとも高く、最高ランクに位置するのが「大吟醸」です。大吟醸は高いお酒・・・そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

「初亀醸造」でも、普通酒から大吟醸まで幅広い種類のお酒を手がけていますが、実は「普通酒」でも「大吟醸」と同じくらい手間をかけて造っているのです。

たとえば、日本酒造りには「麹(こうじ)」を造る製麹工程があり、手づくりで行う伝統的な方法と、機械で行う方法があります。「初亀」では、手間がかかるため一般的には吟醸酒にしか用いない「箱麹法」という手づくりの製麹法を、普通酒にまで行っている・・・ここまで行う蔵は、ほとんどありません。

ここまでこだわるのは「大吟醸造りは、普通酒造りの延長線上」との考えがあるからなのです。

今度はいよいよ田んぼへ。
初亀醸造で使用している静岡県オリジナルの酒米「誉富士」を育てている、朝比奈地区を訪れました。

山間にひっそりと広がる光景は・・・本当に素晴らしかった!
若手スタッフたちも、口々に驚きの声を上げていました。

静岡県藤枝市の内陸にある朝比奈地区は、寒暖の差が大きく水はけも良いため、理想的な米ができる産地。初亀で使用している「誉富士」の田んぼは、山あいの開けた平地にあり、風が吹き抜けるので、健康で美味しい米が育つのだと教えてくれました。

コロナ禍の影響により、多くの酒蔵は苦しい状況を強いられています。
それは米を育てる農家にも影響し、継続が難しくなってしまう農家もいるかもしれないとのこと・・・
今回、蔵元から直接お話を聞いて、自分たちがしっかりと魅力を伝えて販売していかないと、という使命感を改めて感じました。

そんな中、初亀醸造では、今後さらに地元米「誉富士」を使ったお酒を増やし、地に根付いた酒造りを行っていこうとしています。
「静岡県産 誉富士」を、ブランド米である「兵庫県産 山田錦」に並ぶ柱にしたい・・・そんな思いで、現在は5軒のお米農家とお付き合いをしていますが、来年はもう少し増やしていき、ゆくゆくは自分たちでお米の栽培もしたいと考えているそうです。

(写真)初亀醸造の橋本専務

お米農家、蔵元、当店、そしてお客様へ。
改めて、単にお酒を売るだけではなく、生産者とお客様を繋ぎ、お酒の文化を伝えていくことの大切さを実感しました。

初亀のこだわりは何と言っても「静岡の食と人に寄り添う酒」。

たとえば、南マグロ、カツオ、桜エビなど、駿河湾を有する静岡には、豊かな食があります。
こうした地元の食材に寄り添うお酒を醸していく。
そんな「初亀」のお酒に、今飲み頃の旬なお酒があります。

そうです、この季節に旬のお酒といえば「ひやおろし」と「秋上がり」。
(日本酒の旬についてはこちらから>>

今年は例年に比べて、より雑味がなく綺麗な味わいに仕上がりました。
純米吟醸 ひやおろし」は、ぜひ冷酒で。
本醸造原酒 秋上がり」は、冷酒からお燗までお楽しみいただけます。

そして忘れてはならないのが、「粋囲 純米吟醸」と「粋囲 特別純米酒」です。
静岡の小さな酒屋としてスタートした当店とは、長年のお付き合いがある「初亀」。
静岡の旨い酒を、全国の人に知ってほしい」という思いで、会長、社長、そしてスタッフも何度も足を運び、その思いを共有したことでようやく実現することができた、初亀と当店が共同で開発したオリジナルの日本酒です。

今後もできる限り、自分の足で日本酒の蔵元を訪問し、色々なことを学び、一人でも多くのお客様にお伝えしていきたいと思います。

静岡本店 店長 戸塚