ラングドックワインは「主役」ではない。そう思っていました・・・

昨日は、ヴィノスやまざきの歩みとともに、当店の「商人魂」をご紹介しましたが、今回は別の畑にいた私の視点から、この「商人魂」を肌で感じた瞬間をお話しさせていただければと思います。

私がヴィノスやまざきに入社したのは昨年末。
その前は別の会社で輸入ワインを販売していましたが、ホテルやレストラン、ヴィノスやまざきも含めたワインショップといった企業様がお客様でした。
数年働いた後、「得意先の先にいるお客様が、どうワインを楽しんでいるのか知りたい」と思い、ヴィノスやまざきの門を叩きました。

入社してすぐに新入社員研修があり、説明を受ける中でまず衝撃を受けたことがあります。
「珍しい。ラングドックワインが多い。」

今まで仕事で数々の試飲会に足を運びましたが、フランスのボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュ、カリフォルニアワインといった、有名産地のワインを中心に紹介している企業が多かった印象があります。
私自身も、ラングドックワインのイメージは?と聞かれて出てくるのは「安旨ワイン」で、いわゆるワイン企業にとって「主役」ではない。
しかし、まずここから飲んでと言われて出てきたのは、レゾリュー、プティ・プロ、シャトー・ラ・グラーヴ・・・全てラングドックワイン。
なんでこんなにラングドックワインが多いんだろう・・・珍しいな。
それがファーストインパクトでした。

そして、研修で出てきた、ヴィノスやまざき始まりの一本 「シャトー・レゾリュー 赤ラベル」

えっ、蔵直ワイン第一号がラングドックワインなの?と思いながら、手に取ってボトルを見ると「見た目がかっこいい」。
深い赤地のラベルに金色の文字。大好きな組み合わせです。

どんなワインなんだろうと期待しながらグラスに注ぐと、濃厚な色調に溢れる赤い果実の香り。
口に含むと、南仏らしい太陽の光をあびて旨味が凝縮されたぶどうの果実味と、ふくよかな味わいが広がりました。飲みやすい、美味しい!

後日、なぜラングドックワインから輸入を始めたのかという謎を解明すべく、社長にお時間をいただいて、「シャトー・レゾリュー」の出会いをインタビューすることにしました。

***

シャトー・レゾリューとの出会いは1987年。

当時、日本酒を中心に販売していた山崎商店(ヴィノスやまざきの前身)の片隅で、ワインの専門店を開始しました。
日本で人気なフランスのボルドー、ブルゴーニュといった有名産地のワインを中心に仕入れたのに、売り上げは芳しくない。ニーズに合わせたはずなのになぜ売れないのかと、苦悩しました。

そんな時、ある勉強会で衝撃を受けた言葉がありました。
「店はお客様の為にある。」
なるほど、ならば本当にお客様の望んでいるワインは何だろうか?
試行錯誤を繰り返す中、あるお客様から「本当に美味しいワインは1万円位するね。私は毎日飲みたいから1,000円代で1万円くらいの味のワインがあればケースで買うよ。」と、言われました。

それならば、とフランス大使館のワイン試飲会に行ってみると、やはり大手企業の方々が群がるのは有名産地のブース。あたりを見回してみると、ふと目に入ったのが、ラングドック・ルーション地方の「シャトー・レゾリュー」でした。

当時は無名産地だったせいか、誰もいない。とりあえず飲んでみるか、と一口・・・
あまりの美味しさと価格の安さに驚愕しました。
現地に飛び、目にした丁寧な手摘みの収穫、こだわりの醸造法・・・
すぐに仕入れをお願いしたんです。

初のワインの輸入。資金がない。
無名産地のワイン。売れるかも分からない。
しかし、「店はお客様の為にある。」という言葉を信じ、お客様の声に応えるべく、地元の銀行に飛び込み1,000万を背水の陣で借金し、輸入を開始しました。
半年で売ろうと思っていた数千本のワインは、なんと1カ月で完売!
購入された有名作家の方が「一口飲んだ時、1万円はするな・・・と、思った。」と、新聞のコラムにも書いて下さったんですよ。

***

社長の熱の入った話を聞きながら、これが「商人魂か・・・!」と圧倒されました。

自分がもし同じ立場だったら。お金もなくて、まったくの無名だったワインを仕入れるなんて、冒険できるか・・・?正直、今の私には難しいです。
しかしながら、お客様の期待に応えたい、蔵元の熱意を伝えたい、お客様が必要としているワインはこれだという、お客様との強い信頼関係があったからこそ成し遂げられ、今のヴィノスやまざきに繋がったのではないでしょうか。
「この商人魂こそ、ヴィノスやまざきに入って学びたかったことだ・・・」こう実感しています。

この未曾有の事態に陥っている中でも、ありがたいことにヴィノスやまざきは営業を続けることができます。
これも一重に、私たちを必要としてくださるお客様の支えがあるからです。
この場を借りて御礼申し上げます。
先代の山崎巽と現社長種本祐子が、日本酒でもワインでも「お客様の求めるものを誠実にお届けする」という理念を忘れず、皆様に楽しいワインライフをお届けできればと思います。

本日のブログでご紹介したシャトー・レゾリューは、「まずはこちらから!蔵直便スタートセット」でお求めやすくなっております。
まずヴィノスやまざきを知るためにはここから飲みなさいと研修の際に言われた、当店の想いがこもったワイン大集合セットです。
是非、お楽しみいただけると幸いです。

内藤
~簡単な自己紹介~
大学卒業後にフランスに留学。語学勉強をすると同時に興味のあったワインにも触れる。
帰国後、別のワイン企業に就職。ホテルやレストラン、ワインショップといった対企業販売をする中、「得意先の先にいるお客様が、どうワインを楽しんでいるのか知りたい」と思い、ヴィノスやまざきに2019年に入社。現在マーケティング部でWEBSHOPとSNSを担当。
推しワインはプティ・プロ シャルドネ樽熟成とボーモンのホープ・マルゲリート。 しょっちゅう飲むのはリッチランド ブラック・シラーズ。