フランスのパートナー生産者からのメッセージ

日本では明日14日に緊急事態宣言の一時見直しの可能性が言われておりますが、
ワイン王国フランスでは一足先に都市封鎖が解除されたとのニュースが入ってきました。


2カ月間ものロックダウンの中、ワイン生産者は「農業従事者」とのことで厳戒態勢を敷いて
ワイン造りを行ってきましたが、他のどんな年よりも大変なものになったであろうことが想像されます。



そんな中、フランス・ボルドーのとある生産者から日本のお客様あてにメッセージが届きました。


当店では「ユニメ」の愛称で長く親しまれている「ユニ・メドック」を生産するバッシェさんからです。

 

「ユニ・メドック」はフランスのボルドーの中でも有名なワイン産地のメドック地区にあるコーポラティヴです。コーポラティヴとは、日本的に言うと「農業協同組合」。
一般的にコーポラティヴのワインは、安くてそれほど品質は良くないというイメージがあるのに何故、こんなにも長く輸入しているのか・・・


それは、1995年のことです。

美味しいボルドーワインを探すために、ボルドーでも一番有名な産地メドックを訪問しました。
メドックにはシャトー・マルゴーや、シャトー・ラトュール、シャトー・ムートン・ロートシルト等、世界的ブランドのシャトーがあり、それらはいまや10万円を超えるような値段で取引されているものが多くあります。

現地買い付けの際、「勉強のために」とそういった格付けシャトーを何件もまわり
その美味しさを楽しむと同時に、その価格の高さに「美味しいけどそう簡単は飲めないな・・」と感じていました。

 

 

そこで、案内してくれていた5大シャトーのスタッフに
「貴方たちは毎日、どんなワイン飲んでいるの?」と聞いてみると…

メドック地方の一番北にある農協「ユニ・メドック」という生産者を教えて頂きました。
そこでお会いしたのが、当時『ボルドー大学醸造学科』という有名な大学を卒業したばかりの青年、バッシェさんだったのです。

 



彼は卒業後有名なメドック地区のシャトーに就職するという選択肢もあったにも関わらず、当時はまだ小さな地方の組合に過ぎなかったこの生産者を選びました。
 
その理由は、まさにメドック地区の銘醸ワインの価格が高騰してしまっている現状を見て
「高品質でありながらも、日常の毎日の食卓で楽しんでもらえるような価格帯のワインを造りたい!」
そんな思いから、これから成長していくであろう小さな農業組合、ユニ・メドックを選んだのです。

 



協同組合というのは、その地域のぶどう生産者が集まってワインを造っているのですが
通常はそれぞれが自分のやり方でぶどうを栽培し、それを醸造所に持ち込み、ワインにして販売をします。

よってぶどうは量で計られ、品質は二の次となってしまうのが普通です。

しかし「それでは銘醸ワインと同等のものは造れない!」とバッシェさん自らぶどう農家に行き、育て方から指導し、ぶどう栽培に徹底させることで、質を追求していきました。

 

 

 



すると、全体のぶどうの質が上がるだけでなく、多くの区画から様々なその土地の個性をもったぶどうが集まるようになりました。

もちろん年によって、場所によってぶどうの質は違ってきますが、200軒ものぶどう農家を抱える「ユニ・メドック」は、安定した質のぶどうが調達出来る蔵元として存在感を増していったのです。



そして、それを支えるのは、バッシェさんが率いる醸造チームです。

彼らは、ぶどう栽培の指導から、収穫、そして収穫後の醸造まで一貫して見続けることで、自信を持っておすすめ出来るワインを提供してくれます。

・・・あれから24年、当時青年だったバッシェは、立派な匠の醸造家になりました。

 



今回コロナの影響で延期が決定致しましたが、3月に開催予定だった
「蔵の祭典」にも毎回のように来日して日本のお客様との交流を図っています。

 

 

「20年以上前のユニ・メドックは小さな存在でした。当時はヴィノスもまだ静岡にしかお店がなかったと記憶しています。
私たちは常に高品質なワイン造りを追い求め、でも毎日でも楽しめるような価格帯で提供できるワインのコンセプトは守り続けてきたつもりです。
同じようにヴィノスも少しずつお店が増え、ずっと私たちのワインをたくさんの日本のお客様に紹介してくれています。
私たちは、ヴィノスのお客様とともに20年以上成長することができたと思っているのです。
だからこそ、これからもお客様の期待に応えるために、常に品質と価格のバランスの取れたワイン造りを続けます。」

 
と力強いメッセージを送ってくれたのが2年前。



今回、世界的な感染拡大によりフランスは甚大な被害がでましたが、
長年ワインを愛して下さっている日本のお客様を想い、届けてくれたメッセージがこちらです。


「どんな状況でも、私たちが長年かけて築いてきた絆は決して弱まることはありません。
私たちにとって最も大切なこと、それは可能な限り最高のワインを造り続けることです。
そしてそれがお客様に喜びをもたらし、この美しいメドック地区をリードする旗となるようなものになるのです。

ユニ・メドックとヴィノスやまざきが、これほど長年にわたって団結してきたこの絆を、とても嬉しく思います。
ヴィノスやまざきの皆様、そしてすべての日本のお客様、私たちのワインを長年支持して下さった方々に、
心から感謝をしています。

この美しい地区メドックで、私たちの畑で、またお会いできることを、
そして一緒に美味しいワインをテイスティングできることを、とても楽しみにしています。

ユニ・メドック醸造長 ローラン・バッシェ」


 

彼らのワインに出会えたことを感謝し、世界の願いは1つであることを想いながら
今夜も素敵なワインを楽しみたいと思います。


駒木根